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京本「おはよう。」
松村「げ、なんで家に……」
樹から全部、というか……まあ一瞬のうちに起きた出来事を聞いたから。
車かっ飛ばさせて朝一で家の前に来てやった。
京本「何考えてんの?」
松村「別に。飯誘われたから行っただけで……あんなことするとか思ってないし。」
京本「いや、女と二人で行ったわけ?本気で言ってる?」
「うるさいな」とでも言いたげな彼の視線はとても腹立たしい。
絶対に俺の方がいい。
……慎太郎もこんな気持ちだったんじゃないか。
デート放置事件、俺は知っている。
京本「じゃあ、俺があの子とふたりでご飯行っても怒るなよ。」
松村「はぁ?ダメだろ。」
京本「なんで?」
一瞬、面食らったような顔をした北斗はバツが悪そうに答える。
松村「……お前が、Aを好きだから。それにあれは俺のだから。」
────
森本「毎晩電話して好き好き言い合ってんの?」
「……私は、言うけど北斗くんは言わないよ?」
森本「照れてんのかな?」
「違う気はするけど……そうだといいな」
京本「お前っ……!」
二人の会話を聞いた記憶を思い起こす。
好き同士なら仕方ないと、諦めようとずっと思っていたのに。
松村「胸ぐらなんか掴むなよ、もう不良なんかしてない」
京本「ふざけんな!彼女はものじゃないだろ!」
うるさい、とでも言いたげに耳を両手で塞ぎ目を閉じて首を振る北斗。
ああ、ムカつく。
こんな男を好きな彼女にも、腹が立つ。
俺なら、大事に、好きだと伝える。
……慎太郎も、もしかしたら樹も同じ気持ちなんじゃないか。
森本「今日は2人で行っててって?」
「うん。」
昨日の今日だ、会いにくいのかもしれない。
それは正直、私も同じだ。
「北斗くんはさ、私のこと好きだと思う?」
森本「え?」
ああ、困らせた。一瞬眉を八の字にした慎太郎。
森本「好きじゃなきゃ、付き合わないって、ね?」
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作者名:冬村 | 作成日時:2023年6月26日 15時