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田中｢先輩がAちゃんのこと褒めてたよ〜、物覚えがいいって。｣
｢本当？嬉しいな。……田中くん送ってくれなくてもいいよ？｣
田中｢俺、Aちゃんのこと結構本気だったからさ。ワンチャン狙ってんの。だから送らせてよー危ないし。｣
｢ますます断る理由ができたなあ……｣
終わったら連絡して、と言われてたから北斗くんに電話をかける。
雑踏で聞こえにくいからスピーカーにして。
田中くんもいるし……二人会ってないから話したいんじゃないかなとも、思ったし。
松村｢もしもし？A？今帰り道？｣
｢うん、終わったから連絡しようと思って……。今田中くんと帰ってるんだけど────｣
｢えーほくとくん誰と電話してるのぉ？｣
……甘えた声がした。女の子の。
誰？義姉さん？いや、こんな声じゃなかった気がする……。
何となく聞き覚えのある声だけど特徴があるわけじゃない。
松村｢ちょ、やめろって｣
｢誰か知りませんけどぉ、今デートしてるんで邪魔しないでくださ〜い｣
田中｢あ"？？｣
田中くんがドスの効いた声を出したけどプルルンという切電音が響いた。
｢酔っぱらいに絡まれてる、とか……？｣
田中｢名前教えねーだろ、酔っぱらいってよりぶりっ子って感じだったし。アイツ、まじ何考えてんだ？｣
この話は、田中くんにより即座にみんなに知られることとなる。
渡辺｢マジでアイツぶん殴っていい？｣
｢いや、まだ何してたかとかもわかんないし……｣
森本｢……北斗には俺からそれとなく聞いてみる｣
本当は、不安で不安で仕方ない。
最近の北斗くんは私を、好きだと思っているのか
自分のモノだと思っているのか。
寂しいのだとしたら、教えてくれればそれでいい。
そしたら私、飛んでいくのに。
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作者名：冬村
| 作成日時：2023年6月26日 15時
