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面接で既にお話したけど、バイト先の居酒屋の店長さんは、私をホールにしたかったらしい。

店長の中丸雄一さん。柔らかい雰囲気の人。



中丸「美人な子はホール行って欲しいんだけどね、まあ向き不向きあるし、一緒にがんばろうね。」


「すみません…でもおっきい声出します!頑張ります」


田中「気合十分じゃん。」

田中くんは私の頭をポンッと叩く。


田中くんはホールらしい。
高校生の頃からバイトしてたんだって。


店長の中丸さんと田中くんのお兄さんがお友達なんだとか。



中丸「まあ、うちそんなに客層悪くないから慣れたらホールでもいいかも。
キッチンもオーダー持っていくことはあるから卓番は覚えて。」



「はい!」



いよいよって感じで緊張する、いつも慎太郎の後ろにいた私が接客なんて……と思いながら


田中「Aちゃんバイト探してんの?うち来ない?ちょうど求人出しててさー」


という声かけがあって即面接、即採用。


「……よしっ」


「最初はドリンクからかな。ドリンクはほんとに待たせられないから。ドリンカー、基本は1人だからね。
今は研修だから私も横ついてるし、わかんないことあったら聞いてね。とりあえずグラスがどれかとお酒の種類……お酒わかる?」


「まだ未成年で……」


「あーそっか。まあラベル書いてるからオーダー入ったら都度教えるね。今日は暇だし。」




先輩の伝えてくれたことのメモをとる。



「もし、酔っぱらいが絡んできた時はすぐ呼ぶこと。」




優しい先輩もいるし、頑張ろう……!








「ねえねえ、松村くん?だよね?」


松村「そうですけど……なんですか?」


Aと慎太郎とは別の授業。
黒髪ロングの女が話しかけてきた。
顔を合わせると髪を耳にかける仕草をしながら



「私、七草千種(ななくさちぐさ)。松村くんのことかっこいいなぁって思ってて……良かったらご飯でもどうかなって。」


「なんで?」と言いたかったけど、今日はAはバイトで。

俺の知らないところにいるんだ。
……気の、迷いだった。




松村「……別に今日ならいいけど。」



寂しさをまぎらわせたかった、ただそれだけ。

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作者名:冬村 | 作成日時:2023年6月26日 15時

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