脆く、優しく。 (ページ22)

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｢あ～今日長い曜日だったから疲れた……｣

講義室、続々と生徒たちが出ていく中私は伸びをした。

相変わらず、慎太郎達以外の知り合いは出来ないまま。

まあ、別にいらないと言えばいらないし。
ひとりで受けてる授業はグループワークないし。

｢何買いに行こっかなー｣

そんな風に考えながら階段を降りる、もう周りに人もいないからついつい独り言も出てしまう。

この棟のこの時間は人が少なくなるから。

階段を降りようとしたその時、不意に足を踏み外した。

……いや、違う。

押された

景色がスローモーションに見えるのに、体は上手く受身をとる事も出来ずに私は階段から転がり落ちた。

｢京本くん家、行けないな───────｣

・

京本｢遅いな。｣

もう19時。買い物して、遅くても18:30には来れるくらいだ。

まさか北斗と一緒にいるとか？と思って連絡しても｢いや、連絡も来てない｣と少し悲しげな返答。

慎太郎に聞いても｢知らない｣と。

外れでもいい。とりあえず大学戻るか。

あの子の今日の最後の講義はどこか知っている。

夕方になったらもう誰も来ないようなところ。

一年の講義でしか使わない棟らしく、講義室しかない。

京本｢そこから探すのがまあ普通……？スーパー行ってるなら連絡来るだろうし｣

京本｢あー、慎太郎？俺とりあえず大学見に行くわ｣

森本｢俺も行く、今日約束してたし｣

施錠はまだされてないはずだし。

京本｢慎太郎。早かったね｣

森本｢うん、走ってきた｣

京本｢連絡してこないのがおかしいと思ってさ｣

彼女なら何かあれば連絡してくるだろう、そんなことは2人ともわかっていて。

だからこそ、何かあったのではないかと不安なのだ。

彼女が最後いた講義室の方へ向かう階段、その下に誰かが倒れていて

森本｢大丈夫ですか？！｣

それを見つけた慎太郎は猛ダッシュで走っていく。

森本｢……A？｣

慎太郎は顔を覗き込むと、誰であるかわかったらしい

森本｢ちょ！救急車呼んで！俺教授たちに状況説明するわ！｣

そう言われてとりあえず119番を押したけど、あまり俺は、状況を飲み込めていない。