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振られた、そう直感的に思った。
もう、戻れないかもしれないと。
好きだとは言ってくれなくなるのかもしれない
松村｢……俺の事、好き？｣
｢付き合ってたいって思えないけど、好きなのは変わらない｣
田中｢ストップ。終わんねーから。きょも、とりあえずAちゃん送るわ｣
俺が何も言えなくなった途端、樹が俺と彼女の間に腕を伸ばしてきた。
……まあでも終わらないのは確かだな。
京本｢これ、タクシー代。全員乗って帰りなよ。方向一緒だし。｣
田中｢サンキュ。行こ、Aちゃん。……北斗も。｣
京本｢樹、樹もいいんだよ。頑張ってみても｣
田中｢うっせー。｣
俺から彼女を、奪わないで。
なんて言う資格、俺には無いけれど。
エントランスを出た俺たち、意外と京本があっさりだったのは、きっと迎えに来るとは思ってくれてたのかな。
｢樹くん、手、離して｣
田中｢嫌？｣
｢嫌って言うか……｣
田中｢うそうそ、ごめんね、タクシー呼ぶわ。｣
樹はAと話している時、とてつもなく優しい顔をする。
グレてた頃はすごい尖ってたのにふにゃふにゃ笑う。
｢北斗くん。｣
松村｢A、俺、どうしたらしっかりしてるって見せられるの？どうしたら、俺とまた付き合いたいって思ってくれる……？｣
｢それは、自分で考えて。｣
ごもっとも。
田中｢Aちゃん端っこでもいい？｣
｢うん、ありがとう｣
田中｢俺真ん中行くから、北斗最後に乗れよ｣
松村｢いやお前助手席行けよ｣
田中｢いいだろ別に！俺真ん中！細いから！｣
文句タラタラ言われても運転手さんに悪いからとりあえず後ろ3人で乗ることに。
田中｢そこ曲がってください｣
｢ね、京本くんのお金ほんとに使うの？｣
田中｢なんで？発端はきょもなんだから詫びじゃん｣
｢だけど……｣
田中｢もう電車もねーしさ。｣
Aはアルバイトを始めてから、少し積極的になった。
前は言いたいことなんて言わないし全部受け止めるだけだった。
｢……鍵、開いてる。｣
最初に彼女の家に。
あとは歩いて帰れるからね。
松村｢俺、先はいるよ。｣
電気もついてるし。リビングの、だけど。
森本｢えっ！？北斗！？なんで！？朝……いや深夜帰り……？｣
リビングでテレビを見てる慎太郎がいた。
もしかしたらしょっぴーか？とか思ったけど。
松村｢お前鍵かけ忘れてるしここAの家だぞ｣
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作者名：冬村
| 作成日時：2023年6月26日 15時
