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松村｢それは、Aが別れたいって？｣
京本｢声震えるくらい、嫌なの？……いいよ、とにかく入って。｣
促されるまま俺と樹が部屋に入ると彼女があたふたしてた。
｢あ、北斗くん……京本くんに無理やり連れてこられて、それであの……ごめんなさい、二人でいて｣
俺が不安な気持ちになるって思ってくれたのかな。
可愛い。そんなことわかってるのに。
俺は……すぐに謝らずに彼女の余裕そうな態度に腹を立ててそのまま。
松村｢ごめん、迎えに来るの遅れて｣
京本｢いや帰さないけど。うちの家政婦。｣
田中｢……え？そなの？え、うちのバイトは？｣
｢あ、それも京本くんがね……｣
京本｢どうでもいいけどさっき話してたこと北斗に伝えて。｣
両手を顔の前で振って否定するAに素っ気なく、でも優しい声で言う京本。
｢……北斗くん、1回別れませんか。｣
松村｢……え。｣
｢私は北斗くんのこと、ダメにしちゃうみたいだから……。
もう一度、やり直したいの。｣
その通りだとは、思う。
俺は彼女を好きが故に人として良くないことをしてる。
何時間も待たせてみたり、気持ちを試すようなことをしたり。
もっと自分に自信が持てたら、違ったのかもしれないけれど。
｢……北斗くん？｣
俺の好きな声で優しく呼ぶ君が本当に好きで、
自分が馬鹿だったことに泣けてきて。
｢どうしたの？北斗くん、ごめん、泣かないで｣
松村｢ごめん……っ、ごめん、ほんと、ごめん……｣
樹も京本もいるというのにぐちゃぐちゃに泣く俺を彼女が優しく抱きしめる。
俺は今、振られているはずなのに、
｢私、北斗くんのこと嫌いになったわけじゃないよ？｣
松村｢……ほんと？｣
｢うん、でも……上手く付き合っていく自信を無くしちゃって。｣
｢だから、ごめんね。お友達になろう。｣
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作者名：冬村
| 作成日時：2023年6月26日 15時
