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京本｢え？うまっ。こんなん作れんの？｣
家にあるものでなんか作ってくれない？と聞かれて簡単なものを作った。
京本くんに料理なんて振る舞うの、初めてだ。
｢まあ、ずっとお兄ちゃんと2人だったし…｣
京本｢シェフの手料理なら良く食べたけどさ、家庭的な味ってあんま記憶ないのよ、俺。
まあ、親は忙しいし？そのおかげで快適な生活してる訳だし。｣
京本｢だから、キミがいい。｣
｢えーと……？｣
京本｢金持ちだからすり寄ってくる人間も、常に取り繕ってる人間にもウンザリ。Aはそんなんじゃないし……あと可愛いし。後悔させないと思う。｣
京本くんは私の目を真っ直ぐに射抜く。
大きな瞳が私を見てて、｢北斗と付き合って後悔したこと、1度もないの？｣と聞く。
視界が揺れる、心臓がどくん、と音を立てる
どこかで分かってる、北斗くんといると傷つくことくらい。
｢……なくは、ないかも。慎太郎を傷つけたし……｣
京本｢いちばん蔑ろにされてるのは自分なんだよ？そんなん幸せになんないじゃん。｣
京本｢アイツが変わらねーならずっとそのままだし。｣
京本くんが私の手を握る。
あったかい。北斗くんと手を握ったことはあったっけ？
抱きしめられたことは何度かあるけど
手はあんまり握ってないかも。
身長差があって、手繋ぐとバランス悪いねって笑って。
北斗くんが、私を見て笑ってくれれば、それで良かった。
京本｢俺にしてみない？絶対悲しい気持ちになんてさせない。二股させるつもりは無いから別れ話はしてもらうけど。｣
私の心が揺れるのはきっと、京本くんが真っ直ぐだから。
京本｢いいじゃん、別に一旦フリーになれば。｣
何度も鳴る私のスマートフォンを京本くんは
｢電源切るね。｣の一言で電源を切ってしまった。
きっと、北斗くんからの連絡
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作者名：冬村
| 作成日時：2023年6月26日 15時
