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「え、京本くん!?ちょっと……!!」
京本「黙って着いてきて。バイト先には休むって言ったから。人足りてるからいいって聞いたし」
────
校門を出た途端「失礼します。」って声が聞こえて
2人の人に腕を掴まれた。
そのまま車に乗せられて、座らされて。
隣には京本くん。
「京本くん……?」
京本「やめときなよ、あんなヘタクソ。」
「ヘタクソって……」
京本「正直、君には俺も似合わない。北斗も似合わない。慎太郎も……結局意気地無しだし似合わない。」
京本「でも、俺……本気で好きだから。」
「……うん、ありがとう。」
京本「ありがとうとかじゃなくて……その、強行突破しようかと。」
無理やり連れてこられた先は高層マンションの綺麗な一室。
最低限の家具が置いてあるリビング。
「えと、京本くん、状況が分からないんだけど」
京本「明日からしょっぴー……お兄さん出張でしばらく居ないんでしょ?」
京本「危ないからここに連れてきた。俺、ここで今一人暮らししてんの。」
「そ、それで……?」
京本「家事、一通りできるよね?時給2000円、住み込み家政婦。悪くないでしょ?」
いや、悪くは無い、悪くは無いけど……
自分に好意を持っている人間と2人きりとか。
京本「大学は行ってもいい、でも────携帯はこれ使って。今の携帯は俺が貰う。」
淡々と話す京本くんに呆気を取られてしまう。
……さすがに、ここまでするなんて。
いや……別に住み込みじゃなければ。
でも北斗くんはやだよね。
というよりもう私も大学生だし一人暮らしでも……
京本「女子大学生なんか危ない目に会うの簡単だから。実際俺のガードたちに成す術なかったわけだし。」
見透かしたように京本くんが言う。
「はい、これうちのカードキーね。」
ああ、もう……目眩がする
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作者名:冬村 | 作成日時:2023年6月26日 15時