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無意識にお兄ちゃんの袖を掴んだ時「あら、その子は?」と女の刑事さんが近づいてきた。
「俺の妹」
「へぇ、松田くんに妹がいたなんて知らなかったわ」
『どうも、妹のAです。いつも兄がお世話になっております。多分…いや絶対ご迷惑しかおかけしてないですよね…』
「おいコラ」
「確かに私の言うこと全然聞いてくれないわね」
「おいコラ」
美人な刑事さんは、佐藤さんというお名前らしい。お兄ちゃん…美人に迷惑かけてたらいつか誰かに刺されるよ…。というかまずセンパイの言うことくらい聞こうよ…。年齢はともかく、刑事としてはセンパイらしいし…。
「もういいだろ。危ねぇからさっさと帰れ」
『…お兄ちゃんは?』
「俺は観覧車に用があっからな。それだけ済んだら帰るわ」
無茶…しないよね?大丈夫なんだよね?だってお兄ちゃんは爆処のエースだし…。
私の不安気な顔に何を思ったのか、お兄ちゃんが私にサングラスを渡してきた。え???そのまま私の頭を撫でつつお兄ちゃんが話しかけてくる。
「A、今からお兄ちゃんは72番目のゴンドラに乗り込んで爆弾を解体してくるな。だから帰ってきた時にそのサングラスを返してくれ。それならいいだろ?」
『でも…』
手の中にあるサングラスを見つめても、胸騒ぎは収まらない。お兄ちゃんには、研二くんと同じ結末を歩んでほしくないのに。もう、誰にも死んでほしくないんだよ。
私がお兄ちゃんの裾を小さく引っ張ると、「安心しろよ」と手首に着いたミサンガを見せてきたお兄ちゃん。待て、物凄く見覚えあるぞソレ。何なら私の手首にも似たのが着いてんぞ。
『ちょーい!!!それ私が中学の誕生日にあげたヤツ!!まだ切れてなかったの!?』
「願い事が叶ってねぇんだろ。あとそれAにも言えることだぞ」
『一応聞くけど内容は』
「さぁな」
「でも、コレが守ってくれんだろ?」と上手く言いくるめられ、私が手を離した隙にお兄ちゃんはゴンドラへと乗り込んでいく。っ……お兄ちゃん!?
「ちょ、ちょっと松田くん!?」
『お兄ちゃん!』
「大丈夫…こういう事はプロに任せな」
高く上がっていくゴンドラを見上げて、思わずサングラスを握りしめた。ねぇ、お兄ちゃんは帰ってきてくれるよね…?
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おもち食べたい(プロフ) - フユフユさん» ですよね…。書いてる本人の癖に、救いがなさすぎて自分が泣きそうでした…笑 (2022年7月27日 18時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
フユフユ - 最後悲しい (2022年7月23日 9時) (レス) @page41 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
おもち食べたい(プロフ) - るかりこさん» ありがとうございます!これからも頑張りますね〜 (2022年5月29日 16時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
るかりこ(プロフ) - めちゃ号泣しました〜😭でも好きです!これからも頑張ってください!応援してます! (2022年5月29日 11時) (レス) @page42 id: 0521264730 (このIDを非表示/違反報告)
おもち食べたい(プロフ) - souさん» ありがとうございます!続編もお楽しみください。 (2022年5月21日 22時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち食べたい | 作成日時:2022年4月29日 14時