検索窓
今日:85 hit、昨日:224 hit、合計:457,059 hit

ページ24

萩原が爆死してから、俺は上から妙な気遣いをされていつも以上に早く家に帰された。Aの靴もまだ無く、珍しいと感じながらも自室のドアを開けてベッドに座り込む。



Aが萩原の死を知ったら、アイツはどんな反応をするのだろうか。まず悲しむだろうな。それから怒るかもしれない。爆死させた爆弾魔に、自身を置いて先に居なくなった萩原に、そして何も知らず呑気に過ごしていたA自身に。


Aは萩原のことを慕っていたし、頼りにもしていた。多分俺の次に優先順位が高かったと思う。第2の兄のように接してたしな。



そんなAに、萩原の死など伝えられるはずがない。



ふと、萩原と死ぬ直前にした電話の内容が蘇ってきた。




「なぁ、陣平ちゃん。いい加減諸伏ちゃんと向き合ってやってもいいんじゃねぇの?」

「あぁ?急になんだよ」

「いやー、諸伏ちゃんって正義感は強いし、Aちゃんのことも大切にできるし、普通に優しいし、こう見ると優良物件だよなと思って。まぁ今となっちゃ諸伏ちゃんには連絡取れねぇけど、Aちゃんに認めてやるって言うくらいはできるだろ?」

「だから俺は…!」

「はいはい、妹はやらないって?でもAちゃんだってもう立派な大人でしょ?昔みたいなただ守るべき存在ってだけじゃないと思うんだよ」

「……そんくらい分かっとるわ。でもやっぱり不安なんだよ。アイツが俺の手の中から離れて、普通に生活できるのか」

「陣平ちゃんは心配性だなぁ。まっ、とにかく俺は2人のこと応援してっから!Aちゃんにもそう伝えといてくれよな!」





分かってんだよ、いつまでも妹と一緒に居られる訳じゃないってことくらい。



噂をすれば何とやら、Aが帰ってきてドアを開けた音がした。そのまま俺の部屋に顔を出したAを見ると、コイツまでどこか行ってしまうんじゃという不安に襲われて思わずその身体を抱きしめる。抱きしめた身体は、当然ながら俺よりも華奢で。




「………なぁ、A」

『お兄ちゃん?どした?』

「お前は、居なくならねぇ…よな?」




その質問にキョトンとした顔を見せたA。だが、すぐにニッコリと笑って言葉を紡いだ。




『お兄ちゃんを置いて居なくなる訳ないでしょ?』




その笑顔は、あまりにも眩しくて。俺はその温もりを逃がさないよう、ますますAを強く抱きしめたのだった。

✿→←11月7日



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (452 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1535人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 諸伏景光 , 松田陣平   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おもち食べたい(プロフ) - フユフユさん» ですよね…。書いてる本人の癖に、救いがなさすぎて自分が泣きそうでした…笑 (2022年7月27日 18時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
フユフユ - 最後悲しい (2022年7月23日 9時) (レス) @page41 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
おもち食べたい(プロフ) - るかりこさん» ありがとうございます!これからも頑張りますね〜 (2022年5月29日 16時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)
るかりこ(プロフ) - めちゃ号泣しました〜😭でも好きです!これからも頑張ってください!応援してます! (2022年5月29日 11時) (レス) @page42 id: 0521264730 (このIDを非表示/違反報告)
おもち食べたい(プロフ) - souさん» ありがとうございます!続編もお楽しみください。 (2022年5月21日 22時) (レス) id: 20bccc651c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おもち食べたい | 作成日時:2022年4月29日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。