彼氏VSお兄ちゃん【名探偵コナン】

❀ ページ3

ヤバい、これはヤバい。目の前の男の存在に冷や汗をかきつつ顔を青ざめさせる。



松田をずっと立たせるのもなんだということで、彼はAちゃんの隣に座ってきた。そして彼女の目の前に座る俺にガンを飛ばしている。目だけで人殺せそうなんだが。彼女の兄が松田だと知ったさっきから冷や汗が止まらない。



そんな俺達の雰囲気に気づいているのかいないのか、彼女が順番に手で示しながらお互いを説明していった。




『それじゃあお兄ちゃん、こちら彼氏のヒロくん───もとい諸伏景光くん。そんでヒロくん、こちら双子のお兄ちゃんである松田陣平。よろしくね』

「あ、どうもお兄さん…。改めまして、Aさんとお付き合いさせて頂いてます、諸伏景光です」

「俺はお前の兄じゃねぇ」




バッサリ切り落とされ、ついでに舌打ちも貰う。松田お前シスコンだったのかよ。確かに警察学校の時から薄々勘づいてたけど。だって珍しく雰囲気が柔らかかったり優しい目になる時は、大抵妹さんからメール来たり彼女の写真見てた時だったからな。



まさかその妹さんと自身の彼女が同一人物なんて夢にも思わなかった。何だろう兄が松田だと分かった瞬間のお先真っ暗な感じ。俺帰ったら松田に殴られない？？



『ホントは研二くんにも紹介したかったんだけど…』と目を伏せるAちゃんに、「ハギの前にまずはお兄ちゃんの俺からだろ」と頭を撫でている松田。うーん、普段の姿からは想像もつかない。っていうか萩原とも知り合いだったのか。まぁ松田がお兄ちゃんなら萩原と知り合いでもおかしくはないな。



いっそお兄さんが萩原だったら、すんなり認めてもらえたか？あーいや、なんかアイツが兄でもシスコン拗らせてそうだしどっちもどっちか。




「で？今日俺を呼んだのは別れたことを報告する為か？」

『お兄ちゃんさっきの説明聞いてて何でそうなったの？付き合ってることを報告する為だけど？』

「チッ」




どんだけ彼氏いてほしくないんだよ。松田から「別れろ別れろ別れろ…」と念が送られてくる。やめろ。



Aちゃん曰く、彼氏の存在を知った松田はそれはもう荒れたそうで。その場面ちゃんと見てたよ俺。昼食中に突然ミシッと音がしたから何だ何だと視線を向けると、携帯を今にも壊しそうな松田がいたもんな。危うく俺の個人情報がダダ漏れになる寸前だったらしい。ま、松田…将来の警察官が犯罪者予備軍にジョブチェンジしないでくれよ…。

✿→←✿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す