日本の道化の月 Ⅱ【イナオリ】 (ページ43)

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試合が再開すると、相手のボールを奪おうと野坂が立ち塞がる。

野坂は飛んで来るボールを奪おうと飛び上がり、ヘディングをすると見せかけてオーバーヘッドを決めてボールを奪った。

稲「あそこでオーバーヘッドなんて珍しいな……」

氷「野坂は本調子じゃないらしい。今頭に衝撃を受けると、サッカーが二度とできなくなってしまうかもしれない」

稲「えっ？だからヘディングしなかったのか……」

氷「野坂に無理をさせないようにしないと」

『へぇ～野坂って本調子じゃないんだ……頭を狙えばイチコロってわけ……

フフフ……面白くなりそう』

ボールは外に出て、相手ボールから始まる。

灰「また野坂のやつ、一星に近づきやがって……無謀すぎんだろっ」

『皇帝さんには何か考えがあるんだろうね』

そして試合が再開すると、Aは相手からボールを奪いに走る。

「またお前かっ！」

『ねぇ……野坂悠馬を潰したいんでしょ？』

「！」

『はやく潰して見せてよ。それでこの試合、もっと面白くしようじゃないか！』

「何だこの女っ……！？」

相手の選手はAから狂気のようなものを感じたのか、咄嗟にボールを高く蹴りあげた。

そしてそのボールは野坂と一星の方へと飛んでいった。