日本の道化の月 Ⅱ【イナオリ】 (ページ36)

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グラウンドから出て行ったAはというと、外のグラウンドを使って一人で特訓をしていた。

一人黙々とボールを蹴り続けるAからは、いつもの笑みは消えていた。

鬼「荒れているな、A」

声がして振り返ると、そこには離脱した鬼道がいた。

Aは鬼道を見かけると満面の笑みで駆け寄っていく。

『鬼道さん！戻ってきてくれたんですね！』

鬼「いや、俺は今一星やオリオン財団について調べている。

だからまだチームに戻ることはできない」

鬼道がそう言うとAはあからさまにがっかりした顔になる。

『そんなぁ……私鬼道さんのゲームメイクでサッカーがしたいです～……あの性悪腹黒皇帝(笑)じゃなくて……』

鬼「随分と野坂のことが嫌いなようだな；荒れてる理由はそれか……」

Aは頬を膨らませてその場に座り込んだ。鬼道も同じように横に座る。

鬼「お前にとったら、以前野坂にやられたことは今までに味わったことがないほどの屈辱だったのかもしれん。

だが、今はチームメイトだ。あいつのことは嫌いでも、あいつのプレーは好きにはなれないか？」

『なれません(即答)』

予想外の返答で鬼道も思わず顔が引きつった。