夜桜の木の下には彼女がいた２～エイリア学園編～ (ページ49)

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それから数十分が過ぎた頃、Aはずっと部屋から出ようと扉を蹴っている。

しかし扉はびくともしない。

扉はAの蹴りでも傷一つつかないほど頑丈にできていた。

『はぁはぁ……どうなってるんだこの扉っ！』

Aは負けじと扉を蹴り続ける。

もう何分ほど経っただろうか。きっともう試合は終わっているはずだ。

『さっさと出せっての…聞こえてるんだろ影山！』

しかし返事は一向に帰ってこない。

と、その時突然どこからともなく爆発音が聞こえてきて、床が浸水してきた。

『嘘っ！？』

Aは急いでこの部屋から脱出しようと試みる。しかし外に繋がる通気口もなければ、扉も頑丈で開く気配がない。

水は既にAの首元まで来ていた。

『そんなっ、こんなところでっ……』

そしてAは完全に水に浸かってしまった。

息を止めてみるがそれはすぐに尽きてしまう。口から水が入り、Aはどんどん溺れていく。

『(こんなところで、終わってしまうの……？

皆……ごめんなさい…私は、ここでゲームセットみたいだよ…)』

意識を飛ばす直前、走馬灯のようにこれまでの記憶が蘇る。

最後に頭に浮かんだのは大好きな弟の笑顔だった。

そしてAは、そのまま意識を失った。