痛みを感じない少女～Another Story～ (ページ30)

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３０．ページ30

？「ところで、貴方のような女性がどうしてこんな場所に一人で？」

『少し一人になりたくてね。一緒にいる仲間は全員キャンプ場で寝ているよ今頃』

？「それで一人でここまで来ちゃうなんて、変わったお人なんですね」

男の子が笑いながらそう言う。そしてAは溜息を吐きながら男の子に向き直った。

『君こそ、一体何をしに来たのだい？

総理の次は、私でも攫おうってことかな？……エイリア学園さん』

Aがそう言うと目の前の男の子は一瞬だけ目を見開きそして小さく笑った。

？「確かに……噂通りの人みたいだね……」

『？』

？「それにしても、どうして俺がエイリア学園だってわかったんだい？」

『こんな夜中に、しかも近くに町も何もない山奥に突然人が現われるはずがないからね。

ここいら一帯に民家がないことも把握済みだよ』

？「それもそうだったね。ちょっと誤算だったよ。

でも勘違いしないで。今日は貴方を攫いにきたわけじゃないんだ。とある人に言われて君の様子を見に来ただけなんだよ」

『とある人？』

？「そういうことだから、俺はもう帰るよ。会えてよかったよ。それじゃあね」

男の子はそう言うと山の世闇に紛れて消えていった。

『……あ、名前聞きそびれたな。まいっか』

Aはそう言うとキャンプ場へと戻っていった。