痛みを感じない少女【イナオリ】

３１． ページ31

試合が再開すると、新たに入ったルシがボールを持って攻め込んでくる。









それを止めようと坂野上が立ち塞がるが、その瞬間坂野上は足を抱えて倒れていた。









よく見れば坂野上の足から血が出ていた。









『なるほどね……彼はそのために投入されたのか……』









Aは立ち上がり救急箱を持って坂野上の元へ歩いていく。









『坂野上君、靴下脱いで』









坂「はいっ」









怪我の具合を見れば坂野上の足は何か刃物で切られたような切り傷ができていた。それはスパイクなどでできる傷ではなかった。









Aは消毒をしてその上から包帯を巻く。









『痛いかい？』









坂「大丈夫ですっ」









『そう。無茶はしてはいけないよ』









Aはそう言って坂野上の頭を撫でるとベンチに戻っていく。途中、一星の横を通り過ぎる時にAは一星に耳打ちをした。









『私は”何もしない”とは言ったけど、”何もさせない”とは言っていないよ』









充「っ！」









『悪い子には１０倍返しでお仕置きだよ』









Aは不適な笑みを浮かべ一星の隣を通り過ぎた。









充「やっぱりあの時消しとくべきだったかっ……」

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