痛みを感じない少女【イナオリ】

２２． ページ22

豪炎寺のお見舞いから帰ってきて、皆はミーティングルームにて集まる。









Aはその間、オーストラリアの選手データを読み取っていた。









『ふぅん……ヒプノシス効果ね……また面倒な技を使うチームなのだね。









して刻印の選手は……』









その時、Aの部屋がノックされる。









『どうぞ〜』









鬼「失礼します、姉さん」









入ってきたのは弟の有人だった。









『おや有人、どうかしたのかい？』









鬼「少し姉さんに聞きたいことがありまして。








姉さんも気付いているはずです。この大会の違和感に』









『何故そう思ったのだい？』









鬼「韓国との試合、豪炎寺は怪我をした際に光を見たと言っていました。何者かが仕組んだものとしか思えないのです。









教えてください姉さん。この大会には一体何が起きているのですか」









有人の内側に光る瞳が真っ直ぐAを見つめる。Aはそんな有人に向け笑い返した。









『心配せずとも、これは歴としたサッカーの世界大会だよ』









Aがそう言うと有人は押し黙った。









『話はそれだけかい？』









鬼「……はい、お時間を取らせてすみませんでした。失礼します……」









有人はそう言うと部屋を出て行った。









『気を張り詰めすぎて変な事しないといいけど……』









Aはそう言うと再び資料に目線を戻した。

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