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クルーウェル先生に彼女がいるという話は、あっという間に広まった。

学生の耳聡さとは凄まじいもので、しかも女生徒のいない男子校の生徒なら尚更そういう話題に飢えているので多感になっている。





「クル先の彼女ってどんなんだと思う?」

「めっちゃドMなんじゃね?」

「それなんかわかるー。首輪とか付けられてそー」





好き勝手に妄想を広がらせる生徒たち。

クルーウェルも噂されていることに関しては特に気にしていない様子だった。

しかし、これだけ噂になっているにも関わらず、誰一人としてその彼女の詳細について知らないのだ。





「聞いたかいヴィル?クルーウェル先生に恋人が出来たらしいね。

最近寮生たちの間でその話が盛り上がっているようだ」

「ふぅん……どうでもいいわ」






廊下を歩く美しいこの男は、ポムフィオーレ寮の寮長のヴィル・シェーンハイト。

魔法薬学を得意分野とし、寮長ということもあって、ユニーク魔法も強力なものである。






「……やだ。アタシったら実験室に残りの薬草を置きっぱなしにしてきちゃったわ。

取りに行ってる間、食堂の席を取っておいてちょうだい」

「ウィ。任せてくれ」





副寮長のルークとわかれたその後、ヴィルは実験室へ引き返した。

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作者名:梅こんぶ | 作成日時:2020年11月24日 21時

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