８１． ページ31
そんな会話をした翌日、クルーウェルはいつもAが現われる中庭に来て本を読んでいた。
しかし今日はそれだけでなく、キレイに包装された長細い箱のようなものを持っていた。
いつも通り、Aとクルーウェルの特等席である中庭の茂みに隠れた二人用のベンチに腰掛け、Aが現われるのを待つ。
そして、いつもは突然現われるAが、今日は正面からクルーウェルの目の前に現われた。
『やぁ、デイヴィス。今日も実に良い天気だ』
「……またお前か」
いつものやり取りを交わすと、クルーウェルは１つ隣の席を空ける。
しかし、Aはそこに座らない。
「何してる、とっとと座れ。立ってると目立つんだよお前」
『……デイヴィス、僕がここに来れるのも、今日が最後なんだ』
Aがそう言った瞬間、クルーウェルは読みかけの本から目を逸らしAの顔を見上げた。
初めてまともに見つめたAの顔は、何とも憎たらしく、憂愁な顔をしていた。
『うちの学園長に、僕がここに入り浸っていることがバレてしまってね。
次、またここにいることがわかったら僕は退学になるらしい』
「は……？」
『皮肉なものだよね。折角キミと友人になれたというのに』
いつもと変わらない口調でそう言うA。
すると、クルーウェルは立ち上がってAの目の前に立つ。
「……清々するな。これで嫌いなお前の顔を二度と見ずに済む。
もううんざりしていたところだ。……さっさと帰れ」
クルーウェルはそう言うと、Aに背を向け立ち去って行った。
一瞬だけ振り返ると、Aはすでにそこにはいなかった。
クルーウェルは手にしていた長細い箱の包装をビリビリに破き、中身を開いた。
そこには、学生の小遣いでギリギリ購入できる程度の新品の煙管が入っていた。
クルーウェルはそれを取り出すと、中庭の井戸の中に投げ捨てた。
「……清々する。本当に」
その日は、Aの誕生日だった。
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猫又黒氏(プロフ) - 間違いでパスワードのお願いを送ってしまいました。お時間をとってしまいすみません。これからも更新楽しみにしております。頑張ってください！(ムーン) (2020年10月7日 17時) (
レス) id: 3ab987cd18 (このIDを非表示/違反報告)
梅こんぶ(プロフ) - ムーンさん» 何のパスワードでしょうか？ (2020年10月7日 16時) (レス) id: b822dbf1fc (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 続編おめでとうございます！パスワード教えてもらえないでしょうか。 (2020年10月7日 14時) (レス) id: 3ab987cd18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - パスワード教えてもらってもいいですか？ (2020年10月4日 1時) (レス) id: 85e3055b1c (このIDを非表示/違反報告)
和 - 続編おめでとうございます!!いつも楽しく拝見させて頂いております。これからも更新楽しみにしておりますね。 (2020年8月23日 17時) (レス) id: efc5c7c00a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅こんぶ | 作成日時：2020年8月23日 13時
