理系教師の弟【ツイステ】

１７． ページ17

「あれ、グリム捕まってんじゃん」







「あ、貴方は……えっと、Aさん…ですよね？グリムを捕まえてくださってありがとうございます。助かりました」








ユウの格好を見れば、昨日までの平凡な服ではなく、ナイトレイブンカレッジの制服を着ていた。








腕章と寮ごとに色分けされたベストを着ていないことから、オンボロ寮のままであることはすぐにわかった。








『……兄様から聞いた時は、珍しく冗談を言っているのかと思ったが……どうやら本当の話だったようだな』








Aはそう言うとユウにグリムを渡した。









「ユウ、この人知り合い？ってか、ウチの担任教師とめっちゃ似てるなこの人……」








目元にハートマークの柄の入った男子生徒がAを見てそう言う。








『だろうな。お前たちの担任教師は、僕の兄様だ。






僕の名前は、A・クルーウェル。２年だ。よく覚えておくといい、仔犬ども』









Aは１年生たちに向け上からそう言い放った。









「クルーウェル先生の弟……！？確かに似ている……」








目元にスペードの模様が描かれている男子生徒がAを見てそう呟いていた。









『それで？お前たちの名前を一応聞いておこうか』







「あ、デュース・スペードです」







「エースでーす」








『フン……まぁ覚えておいてやる。







そろそろ教室に戻ったらどうだ？１年から授業をサボるのは、先輩としては見過ごせないな。







躾けを所望なら、とことん付き合ってやるぞ？』








Aが不適な笑みを浮かべると、その笑みをよく知っているグリムは脅えてユウの後ろに隠れた。









『フッ、その必要はなさそうだな。じゃあな仔犬ども』









Aはそう言うと背を向け去って行った。








「何だったんだあの人？」







「さーな。てかユウ、約束通り、チョコクロワッサン奢りな〜」







「もうわかってるよ……」

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