夜桜の木の下には彼女がいた２～FFI編～ (ページ14)

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６４．ページ14

豪炎寺が去った後、Aは理事長室に入っていった。

『総一郎さん、響木監督』

雷「Aちゃん、どうしたのかね？」

『今の話、本当なんですか？』

響「お前、聞いていたのか……」

『答えてください。豪炎寺の話、本当なんですか』

雷「……本当のことだ。お父さんが直々に言いに来たことだ」

『……止める事は本当に出来ないんですか』

響「保護者が言うなら、俺達にそれを拒否することはできない。

お前もよくわかっているだろ」

『っ……監督達が止められなくても、私は止めてみせますよ』

響「豪炎寺の父親と直接話をつける気か？」

『豪炎寺のお父さんには弟のことでお世話になっているので知っています。

気難しい人ですが、話の通じない人ではありません』

雷「Aちゃんの気持ちは痛いほどわかるよ。でもね、これは豪炎寺君の問題なんじゃないかな」

『でもっ！』

響「A、お前は練習に戻れ。それとこの事はあまり他言するな、いいな？」

『っ……失礼しました』

Aは乱暴に扉を閉め理事長室を出て行った。

雷「Aちゃんが他人の為に何かをするようになるとは……それほど今の仲間が大切なんでしょうな……

だからこそ心が痛む」

響「あいつは円堂とは違って頭の回転がいい。心の何処かでは理解しているはずです。

理解しているからこそ、豪炎寺の脱退が尚更許せないのでしょう。

あいつは円堂に似てないようで似ていますから」

『っ……豪炎寺のバカっ』

Aは歯を食いしばり悔しそうに言葉をこぼした。