元最凶の吸血鬼がメイドになった件 Ⅵ【黒執事】 (ページ21)

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それからというもの、シエルは思惑通りクレイトンの寮弟になることが決まった。

シエルの同級生達は、シエルがP4組に入ったことで大盛り上がりだった。

そのお陰でシエルはその日、四六時中生徒達に囲まれていたらしく、夜になって疲れたきった顔でセバスチャンの部屋へやってきた。

シ「オペラ歌手にでもなった気分だ……；」

セ「ここ最近の坊ちゃんの名演ぶりは中々のものですからね」

『いっそこのまま役者を目指してみたらどうだ？』

シ「嫌味なら受けて立つぞ」

『まさか、心からの賛辞だ』

シ「余計タチが悪い！」

セ「厄介者(モーリス)を排除し同時に目的の地位まで一気に手に入れたのです。順調ではありませんか」

シ「だが最終目標にはまだ程遠いぞ。

女王からの命、それは血縁関係にあるデリック・アーデンを含む数名の生徒が学園に閉じこもり外部との接触を断っている原因の究明……しかし＿＿＿＿」

『我々はまだその者らの顔すら見ていない』

シ「しかも一人もな。これは明らかに異常だ。

力尽くで強制送還してやろうかとも思ったんだがな、女王はあくまでも原因を探れと仰せだ。

おそらく…いや、確実に彼女は原因がただの反抗期でないことに気付いている。

ただ学園は独自のルールでがんじがらめ…ロクに調査もできやしない。まるで囚人だ！」

セ「だからこそ坊ちゃんはルールの番人達(監督生)に近づこうとしているのでしょう？普段よりずっと穏便な方法で」

シ「まあな……だが僕はまだ監督生の寮弟の寮弟。校長主催の真夜中のお茶会には参加できない身分」

『先は長そうだな』

シ「早く屋敷に戻ってゆっくり風呂に入りたい。

とりあえずやっとP4組とやらに入れたんだ。直接P4にデリックについて探りを入れてみるさ」

セ「えぇ…特に有益な情報を持っていそうなのは、デリック様が異動された寮」

『紫黒の狼寮の監督生……バイオレットだな』