廃墟のある森𓈒𓏸𓐍 𓇢 ページ8
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一つの鏡の前には、僕が立っていた。
「十八歳おめでとう」
鏡の中の僕が十八歳を祝っている。
「君は誰なの？」
僕はそう問いかける。鏡の中の僕はにこりと笑った。
「前も言ったよ、ぼくときみは双子だって。」
「違う、兄さんはもう戻ってこない。それくらい分かってる。」
僕は鏡を睨む。でも鏡の中の僕は笑っている。
「でも、ぼくと一緒に居たいでしょ？」
目を覚ますと、僕は涙を流していた。
「居たいよ。出来ることならずっと、命が尽きる迄ずっと。」
僕の独り言は静かに消えた。
体を起こして窓の外を見る。
今日は預けられた森にいかなければいけない。
「廃墟のある森、か。」
僕は朝の支度をして、仕来り用の服を脱いで、ここにきた時の服に着替えた。
やっぱりこの服の方が落ち着く。
「もう御出掛けですか？」
偶々すれ違った使用人はそう聞いてきた、肩に掛けた鞄を握る手に少し力が入る。
僕は優しい顔を創ってふわりと笑い、少し首を傾げて動きをつける。
耳に掛けている髪が落ちて来ないように耳に手を添える。
「人混みは苦手だから朝のうちに行っておこうかと思ったんだ。」
僕はそれだけの言葉を残して大広間へと歩き出した。
昨日の賑やかだった空気はすっかり無くなって、朝のさっぱりとした空気が本家の中を満たしていた。
窓の向こう側にはこの街で一番の大樹が見える。
本家が大樹を囲うような造りになっているから何処からでも見えるのだ。
大広間の踊り場に着くと、人の居なくなった大広間が、昨日より広く感じた。
大広間を抜けて長い長い階段を降りていく。
幅も広いから、もし本当に僕がこの街で独りぼっちになったら、こんな感じだろうなと思った。
「ルイン様」
不意に、僕を呼ぶ声がした。
「どうしたの？」
声のした方を見ると、そこには僕が本家に来て一番最初に会った使用人だった。
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ぱるるる - 最近読めてなかったんですが、やっぱいつみても面白いです…！！ (9月17日 14時) (
レス) @page50 id: 4033a3da89 (このIDを非表示/違反報告)
ちょうれもん🦋 - 久しぶりに読みに来たら、たくさんのお話が出ていて、とても面白かったです。初登場のエメラルドちゃん(？)ツンデレなんでしょうか、とてもかわいいですね！！これからも頑張ってください！！ (7月21日 17時) (レス) id: 9043ebb7d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるるる - 最近低速やら没収やらでなかなか読めてなかったんですが、本当に素晴らしい作品です！(by教祖) (7月21日 9時) (レス) @page47 id: 4033a3da89 (このIDを非表示/違反報告)
Izana ハル - 初めて読ませていただきました！とても面白いです！(by入信者) (7月4日 22時) (レス) @page3 id: e32158e589 (このIDを非表示/違反報告)
夜空と小瓶 - 毎日投稿、ありがとうございます！！いつも楽しみにしています。これからも頑張ってください！！ (7月4日 12時) (レス) id: e2aa629c09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透明な炭酸水 | 作成日時：2023年5月28日 21時
