それは、ただの破片一つ分。𓈒𓏸𓐍 𓇢 ページ33
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「見つけたぞ!」
それは、ルインの居る部屋から少し離れた場所だった。
もう来たか。
「お前...エリピア・フォレストだな?」
「何、ボクを探してるの?」
一歩、また一歩と少しずつ後ろに下がる。相手は顔を隠していて、黒い外食を身につけている。
その外套の糸一つ一つが光を反射させ怪しげに輝く。
「お前を捕らえに来たんだ。」
やっぱり狙いはボクか、ならこっちとしても都合がいい。
「ボクを捕まえてどうするの。」
警戒しながら聞く。
「お前は、自分が人間じゃないと思ったことはないか?」
急に放たれたその言葉は__
なんの感情も読み取れない、遠くに存在する何かのようなその声は、ざわめいた木の葉と重なった。
「そうだなぁ、周りと見た目は似ているのに何かが違う、とかな」
「…無いよ」
「そうか、"もう気付く頃"かと思ったがな。」
違うんだ。
ボクは、ボクはルインの兄で、フォレスト家の血を引いてるんだ。
ただ、封印を解いてしまっただけで。
「その表情、やっぱり気付いているんだろう?」
ボクは走り出した。
否定したくて。
否定したところで事実が変わるわけじゃないが、ボクはただ走った。
今ボクが優先すべきことは、ルインを守るために動くことだから。
おかしいな、ここまで兵が居ないなんて。
仕方ない。
ボクは走りながら幾つもある窓を見上げた。
太陽は刻々と傾いている。
「普通に走ったってお前は勝てないぞ?」
後ろで黒い外食の男が話しかける。普通に走ったって勝てない、ボクはそんなことくらい分かってる。
でも、残念だったな、ボクは囮になりに来ているだけだ。
黒い外食の男はボクを捕まえようと、ボクの手に触れた。
「なっ」
だが、その男が掴んだ手の中には誰もいなかった。
あったのは、小さな鏡とそれを覆うような衣服だけ。
「やっぱり、気付いてるじゃないか。」
辺りを見回し、誰もいないことを悟った男は鏡を握り、割った。
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これからしばらくはお兄ちゃんの、エリピアの過去編が続きます!!
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ぱるるる - 最近読めてなかったんですが、やっぱいつみても面白いです…!! (9月17日 14時) (レス) @page50 id: 4033a3da89 (このIDを非表示/違反報告)
ちょうれもん🦋 - 久しぶりに読みに来たら、たくさんのお話が出ていて、とても面白かったです。初登場のエメラルドちゃん(?)ツンデレなんでしょうか、とてもかわいいですね!!これからも頑張ってください!! (7月21日 17時) (レス) id: 9043ebb7d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるるる - 最近低速やら没収やらでなかなか読めてなかったんですが、本当に素晴らしい作品です!(by教祖) (7月21日 9時) (レス) @page47 id: 4033a3da89 (このIDを非表示/違反報告)
Izana ハル - 初めて読ませていただきました!とても面白いです!(by入信者) (7月4日 22時) (レス) @page3 id: e32158e589 (このIDを非表示/違反報告)
夜空と小瓶 - 毎日投稿、ありがとうございます!!いつも楽しみにしています。これからも頑張ってください!! (7月4日 12時) (レス) id: e2aa629c09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:透明な炭酸水 | 作成日時:2023年5月28日 21時