小さな扉𓈒𓏸𓐍 𓇢 ページ16
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「何これ。」
仕来りが行われた数日後、僕は鏡のある壁の床間に小さな扉のようなものがあるのを見つけた。
薄く張っている雨水の優入を拒むように、それの周りには少し段差ができている。
「そこに入れば好きな場所に行けるよ。」
鏡の中の兄さんはそう言った。
ずっと話していて分かったが、どうやらこの廃墟の中には詳しいらしい。
兄さんはいつも僕が知らないことを知っていた。
「兄さんは行ったことあるの？」
僕は小さな扉に近寄りながら問いかける。
兄さんも僕と同じように鏡の中で歩く。
「行ったことあるよ」
どこか得意気に兄さんは言った。
「例えばどこに行ったの？」
僕は小さな扉のすぐ側にしゃがんで兄さんの方を向く。
兄さんは同じように小さな扉の側でしゃがんでいる。
そして扉を人差し指でなぞりながら言った。
「少し離れた街とか、この街の色々な所とか、あとは本家とかにも行ったよ。」
その声はどこか懐かしそうな、寂しそうな、楽しそうな声だった。
「え、本家に行ったの？」
「うん。」
兄さんは楽しそうににこりと綺麗に笑っている。本家にはフォレスト家の関係者しか行けない筈だ。
本当に兄さんがフォレスト家の関係者だったとしても、鏡の中にいる兄さんはどうやって行くんだろう。
「どうやって行ったのか気になってるね。」
兄さんは僕の思っていたことを当てた。
そういえば兄さんはいつもこうだった。
僕は何も言っていないのに会話が出来ている、なんてこともあったくらい。
「なんで分かるの？」
僕はずっと不思議に思っていたことを口にした。
「一つ鏡に二つ顔、目は心の鏡、ぼくはきみ、きみはぼく、目を見れば何を言いたいかなんて全部分かるよ。」
地面の薄く張った雨水が揺れる。
何だろう、どこかで聞いたことがある気がする。
差し込む光も、所々生えた植物も、不思議な雰囲気も、どこかで＿＿。
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もうすぐテストなので、更新出来ない日があるかもしれません…すみません。
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ぱるるる - 最近読めてなかったんですが、やっぱいつみても面白いです…！！ (9月17日 14時) (
レス) @page50 id: 4033a3da89 (このIDを非表示/違反報告)
ちょうれもん🦋 - 久しぶりに読みに来たら、たくさんのお話が出ていて、とても面白かったです。初登場のエメラルドちゃん(？)ツンデレなんでしょうか、とてもかわいいですね！！これからも頑張ってください！！ (7月21日 17時) (レス) id: 9043ebb7d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるるる - 最近低速やら没収やらでなかなか読めてなかったんですが、本当に素晴らしい作品です！(by教祖) (7月21日 9時) (レス) @page47 id: 4033a3da89 (このIDを非表示/違反報告)
Izana ハル - 初めて読ませていただきました！とても面白いです！(by入信者) (7月4日 22時) (レス) @page3 id: e32158e589 (このIDを非表示/違反報告)
夜空と小瓶 - 毎日投稿、ありがとうございます！！いつも楽しみにしています。これからも頑張ってください！！ (7月4日 12時) (レス) id: e2aa629c09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透明な炭酸水 | 作成日時：2023年5月28日 21時
