三葉 ページ4
「お邪魔するよ〜」
ガチャリとドアをあけ、お決まりのセリフで部屋に上がり込むモリアーティ。
そして視線の先には机に向かいノートに何かを真剣に書き込んでいる男。
「何の用だ」
私の天敵、シャーロック・ホームズだ。
こいつがいるとモリアーティは私にかまってくれなくなるのだ。
それに、シャーロックは以前、私に対してキモい。と言ったのだ。
その原因としては多少自業自得な面もあるが、そんなことはどうでもいい。
とにかく奴が私に吐いたキモいという単語が問題なのだ。
「お前はいつもモリアーティにべったりで気持ち悪いな、いっそここで働いたらどうだ?」
なんていってきた。
私は確かに此処にいる時は男装をしているし、一人称も僕に変えている。
だが頭が良く観察眼も優れているシャーロックの事だ。
私が女であることはとっくにバレているのである。
むろん、モリアーティにもばれている。
抱き着いているのでそれは致し方ないし、別に隠しているわけでは無いので構わないのだが。
「あ、そうそう用事、今日はちゃんとあるんだよ」
「ねぇシャーロック、落語のチケットゲットしたんだ、一緒にどう?」
もちろんAも、と笑いかけてくれるモリアーティ。
シャーロックがいるのに私のことも気にかけてくれるなんて、今日は良い日かもしれない。
・
・
・
なーんて、浮かれていた自分がバカでした。
出掛けてから帰って来るまで、モリアーティはずっとシャーロックと話している。
この前の事件がどうだったとか、そんな話だ。
そして、とうとうパイプキャットの入っているNYAU HOUSEビルまで戻ってきてしまった。
もう少し、モリアーティとお話ししたかったな。
そんな気持ちとは裏腹に、モリアーティは「じゃあ、俺帰るね」と手を振る。
私も、帰らなきゃいけないな。
「うん、また明日!」
絶対に会える保障なんてないが、最後は絶対この言葉でと決めている。
だって会えたら嬉しいから。
「あ、Aはもう少し俺に付き合って」
「はい喜んで」
…え。
反射的に返してしまった言葉に笑うモリアーティと、驚く私。
「俺、Aに言いたい事、あるんだよね」
そんな緊張した顔で言われると気になってしまう。
え、本当に何なんだ…?
「とりあえず、歩こうか」
Aも帰り道、こっちだったよね?と言いながら歩き出すモリアーティを、私はあわてて追いかけた。
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ユナ(プロフ) - 更新楽しみにしています (2020年6月2日 19時) (レス) id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - 歌舞伎町シャーロックの小説があって凄く嬉しいです…!無理をしないで更新頑張ってください! (2020年3月28日 2時) (レス) id: f31585a7f8 (このIDを非表示/違反報告)
真夏の夜(プロフ) - 更新を楽しみにしています(^^) (2020年3月21日 2時) (レス) id: 1160d728c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜の木 | 作成日時:2020年3月15日 1時