役目:F ページ24
俺は、照の弱々しい疑問に、言葉を詰まらせてしまった。
深「……えっと、照、」
岩「ちょっと、ついたんだけど。降りてくんない？」
深「え？ うわ、ほんとだ」
照がじとっと睨みながらも苦笑して、俺を振り返る。
いつの間にかコンビニの目の前にいた。
急いで荷台から飛び降りて、そして俺は恐ろしい事実に気づく。
深「……ねえ照、お金持ってきた？」
岩「は？ ふっかに奢ってもらうに決まってんじゃん」
深「だよねーー！ だよね！ 俺も奢る気満々だった！」
岩「おさいふっかでしょ？……って、満々"だった"？」
照は自転車の鍵をかける手を止めて、眉根に皺を寄せて俺を訝しむ。
ああそうだ。俺はお前に何かしら奢ってやる気満々で出てきた。けどな。
深「財布忘れた」
岩「ねー！ マジでありえない！ 帰りは走って帰って！」
深「ちょーー！ ちょちょ、ちょっと待って、乗せて、頼む！」
岩「ほんと最悪、寒い中ただ俺したくもない散歩させられただけじゃん！」
深「悪かったって！ な？ 今度なんか奢るから！」
岩「金で解決しようとすんな！」
チャリに跨る照に続いて、急いで荷台に飛び乗る。あぶねー。こいつは本気で俺を置いていく男だ。
ただ、文句垂れながらもなんだかんだ笑顔になった照を見て、若干安心したのもここだけの話。
結局俺をまた後ろに乗せてくれて、チャリは走り出す。
俺に残された時間は、元来た道を戻るだけの数分だ。
適当なことは言えない。余計なことも言えない。
だから俺は少しだけ考え込んでから、結局は簡潔な言葉で伝えることにした。
深「あのな、照。俺的には、なんかそういう"役目"とかいうの、めんどくさいし邪魔なだけだと思うんだよね」
岩「………そう？」
深「うん。そんなのいらなくない？ 担う必要も取り合う必要もないと思う」
岩「……ふっか、何が言いたいの？」
ああ、やっぱり照は、遠回しに小難しく言われるのは嫌がったようだ。まあ俺としても、変に頭を使うのは得意じゃない。
つっても、俺にだって正解はわかんないんだけど。
深「………うーん、生きてる限りみんな誰かの何かの役目は果たしてるじゃん！ ってこと！」
岩「……なにそれww よくわかんないww」
深「俺もよくわからん！」
岩「まあでも……ふっかにしてはいい言葉だなって思う」
深「俺にしてはってなんだよ！」
楽しそうに笑う照。
うーんまあ。
コンビニではなにも買えなかったけど、夜のお散歩としては上出来かな！
俺は俺を褒めてやる。
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み(プロフ) - 面白かったです！個人的に、ダテ様とハワイの朝をやるシーンがめちゃくちゃツボでした笑でも、違う方の方と結ばれて欲しかった…のでめちゃくちゃショックです…途中からああこの展開は無理だろうなと思ってましたが…悲しい…まだちょっと心が整理しきれないです(;_;) (2020年4月14日 1時) (
レス) id: 0dd11b40bd (このIDを非表示/違反報告)
K - 最高でした！最後ぐわぁ！と声を出してしまったほどです笑笑 主人公ちゃんの心の動きや描写がすごい読みやすかったです！！ 笑いと感動をありがとうございました！！ (2020年3月16日 13時) (レス) id: a6f7ebf609 (このIDを非表示/違反報告)
あきの(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました。また他の作品も楽しみにしてます(^^) (2019年10月21日 20時) (レス) id: 820a4fb56b (このIDを非表示/違反報告)
まき - 初めてコメントさせていただきます。いつも更新心待ちにしていました！長い間お疲れ様でした！この作品を通しておかゆさんの紡ぐ文章のファンになってしまいました。この物語の主人公と同じように私の心も浮き沈み、最後には暖かい気持ちになりました。 (2019年9月15日 21時) (レス) id: 9e2e841039 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 完結おめでとうございます！16万字すごく読み応えがありました、ありがとうございます。番外編や、新作なども楽しみにしております(^-^) (2019年9月15日 9時) (レス) id: c8a059bef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年6月7日 16時
