大丈夫:W ページ21
警察署まで、路線バスで向かう。
二人掛けの席に並んで座る。
まだバスに乗って数分しか経ってないというのに、Aはもうこっくりこっくり船を漕いでいる。
だからAの頭を俺の肩に引きよせて、寄りかからせる。Aは俺の手の感触でうっすら意識を浮上させた。
渡「ついたら起こすから」
ぼんやりした目で俺の言葉を聞いて、小さく頷いて、俺の肩を枕にして眠りに落ちた。
昨日は、眠れなかったのかな。
窓の淵に肘をついて、一人考える。
Aは、昨日のことをもう全員に話したと言っていた。
みんなに隠してはいられない。だから、きっと話さなきゃいけない日がくるとは思ってた。
でも、まさか、俺の知らないうちに。
A自身でそれをすべて終わらせてしまうなんて。
強い女。ほんとに、強い。
きっと一晩どうするべきか考え込んで、今朝からもう、今までの強いAに戻ることにしたんだ。
なんのダメージもないみたいにあっけらかんと笑って、ちょっとした痴漢にあっただけ、ってことにして。
隠さず、でも、弱いところは見せない。
強いなAは。
俺も昨日のことの全貌を詳しくは知らないけれど、でも、俺が見つけた時のAの様子を考えれば、それが"ちょっとした"出来事なんかじゃなかったことは容易にわかる。
俺だけ知ってればいい。
Aが本当はどんなことを乗り越えて、今強くいるのか、俺だけが知ってればいいや。
20分ほどバスに揺られる。
時折ズレ落ちるAの頭を何度か肩に乗せ直して、バスは目的の停留所へ到着した。
バスを出るなり思いっきり伸びをしたA。
「んー、よく寝た！」
渡「そりゃ良かった」
「おはよう」
渡「はい、おはよう」
呑気に笑ってて、まるで本当に、大したことなんてないみたいだ。
近くに見える警察署を目指して、Aが俺の前を、足取り軽くいく。まるでピクニックに向かうかのように。
渡「なぁ、A」
「はい？」
振り返る。笑顔。いつもと変わらない。
渡「無理してない？」
「してるように見える？」
渡「全然見えない」
うん。全然、無理してるようになんか見えなくて、だから不思議なんだ。
Aは楽しそうに笑う。
「うん。無理してない！ 翔太のおかげで、もう大丈夫」
ニッと歯を出して笑う。
そっか。
そっか。
お前の強さの裏には、ちゃんと俺がいるんだ。
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み(プロフ) - 面白かったです！個人的に、ダテ様とハワイの朝をやるシーンがめちゃくちゃツボでした笑でも、違う方の方と結ばれて欲しかった…のでめちゃくちゃショックです…途中からああこの展開は無理だろうなと思ってましたが…悲しい…まだちょっと心が整理しきれないです(;_;) (2020年4月14日 1時) (
レス) id: 0dd11b40bd (このIDを非表示/違反報告)
K - 最高でした！最後ぐわぁ！と声を出してしまったほどです笑笑 主人公ちゃんの心の動きや描写がすごい読みやすかったです！！ 笑いと感動をありがとうございました！！ (2020年3月16日 13時) (レス) id: a6f7ebf609 (このIDを非表示/違反報告)
あきの(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました。また他の作品も楽しみにしてます(^^) (2019年10月21日 20時) (レス) id: 820a4fb56b (このIDを非表示/違反報告)
まき - 初めてコメントさせていただきます。いつも更新心待ちにしていました！長い間お疲れ様でした！この作品を通しておかゆさんの紡ぐ文章のファンになってしまいました。この物語の主人公と同じように私の心も浮き沈み、最後には暖かい気持ちになりました。 (2019年9月15日 21時) (レス) id: 9e2e841039 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 完結おめでとうございます！16万字すごく読み応えがありました、ありがとうございます。番外編や、新作なども楽しみにしております(^-^) (2019年9月15日 9時) (レス) id: c8a059bef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年6月7日 16時
