二人の夜:W ページ16
それからただAを抱きしめて過ごした。
警察に行くのは明日以降にする。
今はまずAを安全なところで安心させたいから。
しばらくして震えの止まったAが顔あげて、『帰ろっか』と言った。その表情には疲れが見えたけど、ちゃんと穏やかでホッとした。
Aに許可は得ず、俺はAの手を取った。
なにも言われなかったので、手を繋いだまま、Aの落としたスマホを探しに少しだけ道を戻る。
スマホは無事で、すぐ見つかったのでそのまままっすぐ帰った。
リビングに誰かいたらどうしようかと思ったけど、幸いにも人影はなく、みんな自室で眠っているようだった。
それもそのはずか。時刻はもう1時半になろうとしている。
いつもAは専用のシャワー室を使っているけど、今日は風呂に浸かるようすすめた。俺はリビングで待ってると伝えて。
Aが風呂場に行くのを見送って、1人でリビングのソファーに沈む。
あぁ。体も心も、思った以上にダメージを負ってる。
俺ですらこんななのに、当事者のAは、どれほど傷を負ったんだろう。
詳しいことは、まだなに一つ聞いていない。
けど、聞けるわけない。聞けるわけがない。
明日以降警察に付き添うつもりだけど、事情聴取だってさせたくない。
ああ、俺はAになにをしてやれて、なにをしてやるべきなんだろう。わかんない。
……こういう時、もし照だったら、どうするんだろう。
もちろん俺は今のこの役目を照には絶対譲るつもりはない。Aを守るのは俺でありたい。
けど、けど。
あまりにも状況が難しすぎて、誰でもいいから教えて欲しかった。アドバイスが欲しかった。
渡「あぁ……」
きついな。
A。
どうしたらお前の傷を癒せるのかな。
それからもう少し1人で沈んで、やがてAが風呂から上がった音で顔をあげた。
「あがったよ」
渡「おう」
濡れた髪をタオルで拭いながら、穏やかな顔でそこにいた。
こんな時じゃなかったら、お前のその姿にときめいて、どきまぎしてたのかな。
今の俺にそんな余裕はない。
渡「久しぶりの湯船どうだった？」
「うん、温泉行きたくなった」
Aが笑う。
ああ、それ。
俺はそれが見たかったから、お前を安心させたくて、守りたかったの。
よし、決めた。
俺にするべきことはまだわからない。
けど、できることならある。
渡「A、ドライヤー持ってこい。今日俺が髪乾かしてやるよ」
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み(プロフ) - 面白かったです！個人的に、ダテ様とハワイの朝をやるシーンがめちゃくちゃツボでした笑でも、違う方の方と結ばれて欲しかった…のでめちゃくちゃショックです…途中からああこの展開は無理だろうなと思ってましたが…悲しい…まだちょっと心が整理しきれないです(;_;) (2020年4月14日 1時) (
レス) id: 0dd11b40bd (このIDを非表示/違反報告)
K - 最高でした！最後ぐわぁ！と声を出してしまったほどです笑笑 主人公ちゃんの心の動きや描写がすごい読みやすかったです！！ 笑いと感動をありがとうございました！！ (2020年3月16日 13時) (レス) id: a6f7ebf609 (このIDを非表示/違反報告)
あきの(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました。また他の作品も楽しみにしてます(^^) (2019年10月21日 20時) (レス) id: 820a4fb56b (このIDを非表示/違反報告)
まき - 初めてコメントさせていただきます。いつも更新心待ちにしていました！長い間お疲れ様でした！この作品を通しておかゆさんの紡ぐ文章のファンになってしまいました。この物語の主人公と同じように私の心も浮き沈み、最後には暖かい気持ちになりました。 (2019年9月15日 21時) (レス) id: 9e2e841039 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - 完結おめでとうございます！16万字すごく読み応えがありました、ありがとうございます。番外編や、新作なども楽しみにしております(^-^) (2019年9月15日 9時) (レス) id: c8a059bef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年6月7日 16時
