無情の種:W ページ39
Aは、照と付き合っていなかった。
照と付き合っていなかった！
涼太からいきなり呼び出されて、しかも今日、公園で待ってるから、なんて言われて。
あいつは面倒なくらい頑固だから、時にはそれが良い時もあるけど、こういう時は厄介だ。なぜなら、俺が行かない限り、たとえ日が昇っても待ち続けるからだ。
電話をかけてこないあたり、特に急用ってわけではないんだろうけれど、行かないという選択肢は与えられていない。
クソ。たぶんあいつ、こうすれば俺が絶対来るって思ってるんだろう。悔しいけど思う壺だ。
メールを確認して、その場で女と別れた。
涼太からあいつの名前が出た時、俺は情けないほど動揺した。
予想してなかったわけじゃない。涼太もAのことはよく気にかけていたし、そもそも他に呼び出されてまで話されることなんて思いつかないから。
それでもどうしても話をそらそうとした俺に、"逃げるな"と、今までの人生で何度か見てきた、真剣な表情で言う。
もう、しょうがない。
たとえ責められても、詰られても、怒鳴られても、全部俺が悪い。
Aはなにも悪いことなんてしてないのに、勝手に俺が拗ねて、向き合えなくて、傷つけるようなことを言ったんだから。
傷つけた自覚はある。
"知らない人"と言った時の、あいつの、愕然とした顔が忘れられない。
せめて、叱ってくれる相手が涼太でよかったと思うべきか。
だって、照だったら、冷静ではいられないだろうから。
結果として俺は、相手が涼太だったけれど、冷静を保つことはできなかった。
ずるいんだよ。どいつもこいつも。
みんな所詮、Aを好きになる権利を持ってる。
照と正々堂々ライバルになる権利を持ってる。
そんなやつらに、俺の気持ちなんてわかるわけがないんだ。
気づいたら俺は、涼太の言葉をシャットアウトするかのように、早口でまくしたてていた。
もともと涼太は自分の言葉を無駄に遮られるのが好きじゃないのに、俺が全く話を聞かないもんだから、ついには怒鳴って、俺は黙らざるを得なくなった。
そこで、やっと。
俺は正しい真実を知った。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
