無情の種:M ページ37
翔太を呼び出した。
黙ってればいいことなのかもしれない。
首を突っ込むなと、言われるかもしれない。
けれど、この家で、翔太を1番古くから知る人間として。
何もせずにはいられなかっただけだ。
言い訳かもしれないけれど、俺は頑固だから。
こうあって欲しいと願う世界を、多少の理由じゃ変えられないんだ。
そろそろ夜風も爽やかになってきた夜の公園で、来るかわからない翔太を待つ。
いや、来るはず。
会う場所を公園にしたのは、いつまでも待つことができるから。
そうなると、翔太が現れない限り待ち続ける俺。
そしてそんな俺の性格をわかっていて、無視はできない優しい翔太。
優しい翔太が俺を無視できずに必ず現れるのを、わかっていて利用する俺。
案の定、翔太は連絡していくらもたたないうちに現れた。
渡「いきなり何？」
開口一番。夜の公園にわざわざ呼び出すなんて、長い付き合いと言えどもちろん初めてのことで、少し訝しんでいるようだった。
宮「ちょっと話があって」
渡「それはわかるけど…なんの話？」
宮「Aちゃんについて」
瞬間、翔太が揺れた。
それくらい、動揺した。
渡「急ぎの話じゃないよな？ 俺、人待たせてるから時間ねーんだわ、今日はもう行く……」
宮「翔太！ 逃げるなよ。逃げたら……後悔する。絶対」
見たことないくらい瞳を泳がせて、何かに耐えるみたいに唇を引きむすんだ。
結局翔太は何も言わず、公園のフェンスに寄りかかった。
黙って俺の話を促す。
宮「Aちゃんに会ったんだって？」
翔太は俺を見ずに少し頷く。
宮「なんで、ひどいこと言っちゃったの？」
回りくどいことは言わない。
翔太はやっぱり俺を見ない。
渡「変なこと言って、連れてた女に逃げられても困る」
宮「逃げられたっていくらでも代わりはいるんじゃない？」
渡「面倒だろ、いちいち」
宮「でも、その子がそんなに必要だった？」
渡「必要もクソもないけど…」
宮「必要もクソもないような女の子優先させて、代わりなんていないAちゃんを傷つけたんだ」
強いことを言っているのはわかる。だから、つとめて、穏やかに。
でも、ついに翔太がこっちを向いた。
切羽詰まった、イラだった顔で。
渡「なんなんだよさっきから……！！ 何が言いたい？！お前はあいつのなんだ！ まさかお前もAが好きだとか言わねーよなぁ？！」
こんなに感情をむき出しにする翔太は、初めてかもしれない。
宮「お前"も"って、どういうこと？」
でも、俺は翔太を甘やかさない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 944人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
