半透明 ページ24
佐「Aは、俺からしたら普通の女の子だよ」
ランチを食べ終えて、のんびり食後のコーヒーを飲んでいた時だった。あまりにも脈略がなくて、思わず佐久間の顔をじっと見つめる。
佐「だからぁ、Aだって普通の恋する女の子に見えるってこと」
あたしが、佐久間の言っていることを理解できていないと思ったのか、そんな風に言い換えてくれる。
だけど、待って。
どういうこと？
「こっ、恋する女の子に見えるゥ？！」
恋する女の子に見えていては、困るんですよ佐久間さん。
恋なんて、してないはずなんですから！
佐「うん」
佐久間はさも当然のように頷く。
そこで頷いたら、あたしが困ってしまうなんて、そりゃ思うはずない。
でもね、困るの。困るのよ、佐久間。
「恋なんてしてない！してないよ佐久間！」
佐「あ、そうなの？」
「そうなの！好きな人もいない！いるわけない！恋してるように見えたとしたら、それは佐久間側に問題がある！」
焦燥感にかられて、不自然なくらいに取り乱して、否定してしまった。
佐久間はそんなあたしを見て、訝しげに首をかしげた。
佐「…ん？あ、別に今恋してるかどうかっていうより、Aも恋とか普通にするような女の子に見えてるよ〜って、ことだよ？」
「………へ？」
佐「さっき"あたしには乙女の悩みなんて似合わないでしょ〜"みたいなこと言ってたじゃん？ だから、別にそんなことないよなぁって思っててさ。Aだって恋して悩むような乙女に見えてるよ」
「………あ、なるほど、そういうことか」
手元のコーヒーの水面が揺らめくくらい、盛大なため息がもれた。
なるほど。あたしの勘違いだった。
佐久間には"恋する乙女"だと思われていたんじゃなくて、"いつかは普通に恋をするような女子"だと思われていた、ってだけの話か。
「もうなんだよぉ。焦ったじゃん」
佐「焦ったってなんでよww」
「……っ、あ、いや、」
佐「さっきもすごい慌ててたし」
「えっ、と、別にそういうわけじゃ、」
佐「なんかさ、まるで"恋をしちゃいけない相手に恋してるヒロイン"みたいな感じだった！例えばアニメ作品で説明するなら、かの有名な……」
息が止まった。
佐久間は、自分の言葉があたしの耳をすり抜けていってることに気づかないで、1人でニコニコとアニメの話をしてくれている。
ねぇ佐久間。
君はそんなとびきりの笑顔で、人を混乱の渦に突き落としてしまうなんて。
げにげに、恐ろしい人なのね。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
