新学期の与太話:F ページ3
自動ドアが鈍い作動音とともに開いて、中から冷気が漏れ出す。
深「うおー！涼しー」
入り口付近にあるカゴを手にとって、Aちゃんの手元のスマホを覗き込む。ツラツラと商品名が書かれた買い物メモだ。
「暑かったねぇ。ふっかがチャリだったら最高だったのに」
深「でもそれこっちのセリフでもある」
「言えてるわ。チャリ買おっかな」
俺は、ほんの一瞬だけ、迷って。
深「……でもチャリ買ったら、もう照と2ケツできないよ」
触れないほうがいいだろうところに、触れてみた。
Aちゃんは案の定、ピタリと足を止めて。
「……なるほどね、事情聴取のためだったのか」
片眉を上げて、憎たらしい顔で笑ってみせた。
笑ってくれたことに、少しだけホッとした。
果物売り場、野菜売り場、鮮魚コーナー、精肉コーナー。
島棚のほうに曲がって、乾物コーナー、調味料類。
お菓子売り場に少し寄り道して、その代わりお惣菜コーナーは我慢して、最後に飲料売り場へ。
俺たちはゆっくりのんびり、まるで散歩しているかのように、涼しい店内を練り歩いた。
その間、少しだけ真剣な話をした。
俺たちにはあまり似つかわしくないような、色恋についての珍しい話題を。
「照とは、なにもないよ」
深「"まだ"、でしょ？」
「そんなことないよ…」
深「そんなことないの？」
「………わかんない。色々考えすぎて、もう逆になにを考えたらいいのかすらわかんなくなっちゃった」
深「……俺からしたら、なにをそんな考えることがあるの？って感じ」
「色々あるんだって…」
深「色々ある？構図は単純だと思うけど」
「単純イコール簡単、ではないでしょ？」
深「まあ、それは言えてるけど」
「それに、ふっかたちがどう思ってるかわかんないけど、照は別に告白とかしてないからね？」
深「またまたぁ」
「本当だって。だから最初から、答えも何もないの。照は告白なんてしてないのに、あたしがどうするか悩んでる、なんて…あたしが勝手に勘違いしてるだけかもしれないじゃん？」
深「Aちゃん、あんたねぇ。"好きって言われてないから好きじゃないんだ"なんて言い訳、20歳のイイ女ができると思ってんの？」
「ふっか……手厳しいです…」
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
