わからない ページ15
新学期が始まってすぐのころ。
だてさんに、学校帰りに買い出しを頼まれて、量が多いから誰かを誘おうとした。
あたしは、迷わず、なべしょに来てほしいと思った。
なべしょに髪飾りを買うのに付き合ってもらった日に、少しだけあたしの悩みを聞いてもらった。
だけどその時はまだ、言葉にできなかった悩みがある。
それを、今度こそなべしょに聞いてもらいたいと思ったからだ。
言わずもがな、それは照のこと。
あたしの、心のこと。
恋のこと。
あの時はまだ、あまりにも全てが漠然としすぎていて、あたしはうまく言葉にすることができなかった。
それが、夏祭りを経て、あたしの中で一つの形ができあがったのに気づくことができた。
あたしは、照のことが好きだ。
照の大きな手が、背中が、声が、笑顔が、あたしの心をギュッと握る。
恋がどこから始まるのか、あたしにはわからない。
だけど、照のことが好きだってことは、わかるみたい。
困ってしまうのは、これが、どうやら両想いらしい、ということなんだ。
あぁ、片想いであればよかったのに。
あたしの一方的な片想いであれば、あたしたち7人は何も変わることなくこれからも生活していける。あたしが自分の心を殺すだけですむ。
もし照に、別に彼女ができる日が来たとしても、あたしは受け入れられる。
泣くかもしれないし、死にたくなるかもしれないけれど、それは"あたしだけ"だから。
他のみんなには、なにも変わらないでいてもらえるから。
悩むのも、傷つくのも、困るのも、迷うのも、全部あたしだけでいい。あたしだけがいい。
冷たい石段の上に並んで座りながら。
あたしは照の方を向けなかったのに。
照の想いが、痛いくらいに伝わった。
そんなの、苦しいよ。
照もあたしを、想ってくれていたなんて。
「Yes」も「No」も、世界を変えてしまう。
そんなの、怖いよ。
あたしは何も言えずにいた。
照は何も求めないでくれた。
なべしょに相談したら、なんて言われるだろう。
「ふざけんな」って怒られるかな。
「がんばれよ」って背中を押されるかな。
どっちでもいい。どっちも嬉しい。
なんでもいいから、なべしょに聞いて欲しかった。
いつかみたいに、「俺、ここにいるよ」って、言って欲しかった。
その日なべしょは用事があると言って、結局それから1度もまともに話せていない。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
