相克:I ページ48
翔太の、Aを想う気持ちが伝わってくる。
目の前の翔太は傷ついたような、余裕のない表情をしていて、やっぱり俺の予想は当たっていたんだと思い知る。
Aが翔太に特別な信頼感を置いているのには、きっとなにか理由がある。
翔太は"Aが越して来なければよかった"なんて酷いことを口にするけれど、その表情やそれまでの言葉が、そんなこと全部嘘であることを物語っている。
翔太は、何に縛られているんだろう。
あんなに苦しい顔で、"何も知らないくせに"なんて言われて、翔太の本当の気持ちを、置かれている状況を、勘ぐらずにはいられない。
翔太も、Aが好きなんだよな。
そのくらい、さすがにわかる。
だって同じ相手を想ってるんだから。
翔太は、Aを好きになってはいけないの？
翔太とAの間には、なにがあるの？
俺はそんなのチャンスだなんて思えない。
だから俺は、俺の思う仁義を通したい。
岩「翔太。翔太の気持ちを勝手に深読みしてごめん。だけど、俺は抜け駆けみたいな真似はしたくないんだよ」
2人とも立ったまま。
翔太は気まずそうに、俺を見ずに静かに聞いている。
岩「欲張りでごめん。俺、Aとのことも大切だけど、それと同じくらい、翔太との関係も大事なんだ。だから、正々堂々翔太と、」
と。
そこで俺の言葉は遮られる。
翔太がコツンと、机を力ない拳で叩いた音によって。
渡「無理だ。正々堂々なんて……無理なんだよ。俺と照が並んで、なんて……ありえねぇの」
それはまるで自分に言い聞かせているかのようだった。
翔太。なんで？
俺はこんな翔太を知ってしまって、例えAと結ばれても、それって本当に幸せと呼べるのだろうか。
誰も悲しまないでほしいなんて、全員が幸せでいたいなんて、俺は欲張りすぎるんだろうか。
翔太は静かに背を向けて、部屋へと向かう。
その手がドアノブにかかるまで。
そのたった数秒で、俺は未来を創る覚悟を決めた。
岩「翔太、俺、もうじきAに告白する」
これが俺の精一杯の仁義だ。
翔太が受け取ってくれなくても、独りよがりでも、それでも通す、俺の仁義。
翔太は一瞬だけ動きを止めて、やっぱり背を向けたまま、何も言わずに部屋へと消えてしまった。
はたして全員が幸せでいるには、出会わないことが一番だったのか。
なんて……俺はそうは思わない。
幸せは、"なる"んじゃなくて、"つくる"。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
