心配:M ページ35
Aちゃんは笑みを固めて、瞳を少し泳がせて。
「………わかんない。でも、女の子と毎日遊んでるんだから、楽しいんじゃないかな。なべしょ、つまらなかったらすぐやめそうだし」
宮「本当にそうかな？ 翔太は基本、インドアなタイプだよ。休みの日は1日家で寝て過ごしちゃう人だし、潔癖っぽいところがあるから、他人の家はあまり好きじゃないと思うし」
「それは……そうかもしれないけど、でも毎日飽きもせず帰ってこないんだから、意外と遊ぶのに夢中なんじゃない？」
ほころびが、見える。
Aちゃんの表情に余裕はない。
笑ってるつもりかもしれないけど、いつものAちゃんの笑顔はもっと綺麗で可愛いよ。
宮「帰ってこないんじゃなくて、帰れないとか。翔太こんなに派手に遊び歩くこと今までなかったしさ。何かが変わったとか理由があるかもしれな……」
「そんっ、そんなことっ！ あたしに、言われても………」
ほころびから、崩れて。
俺の言葉を遮ったAちゃんの顔に、一切の余裕も笑みもなかった。
「あたしに言われても、あたしなべしょのことよくわかんないよ……」
宮「……そう。俺は、翔太はAちゃんに心を許してるみたいだったし、特に仲良いと思ってたからさ」
「……そうだよ。あたしだって、なべしょと仲良くて、心許してて、お互いなんとなく特別だと思ってた」
宮「……思って"た"？」
「うん。あたしなべしょに会ったの。会って、なべしょは女の子といて、それで、なべしょはあたしに気づいたのに……」
俺は何も言わずにAちゃんの言葉の先を待つ。
なんだか、少し嫌な予感がする。
Aちゃんはかすかに絶望すら感じ取れるような瞳で、一度ゆらりと俺を見て。
またそらす。
言葉の続きを発したのは、唇をわずかに擦り合わせてから。
「あたしのことを"知らない人"って言った」
宮「…………は？し、知らない人って、」
「それで、女の子と腕組んで、背中向けて、どっか行っちゃった。だからあたしは、なべしょに会ったけど、話せてないの」
宮「ちょ、ちょっと待って、それは翔太が言ったの？」
「そうだよ。なべしょを見間違えるはずないし、なべしょじゃなかったら、傷ついたりなんかしない」
信じられなかった。
Aちゃんの言う内容も。
見たことない、Aちゃんの苦しそうな表情も。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 945人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
