半透明 ページ22
"知らない人"って。
そんなのあんまりだ。
ひどすぎる。
なべしょの言葉が、頭の中で繰り返し再生される。
気まずそうに目をそらしてすぐに向けられた背中も、何度かき消しても鮮明に浮かんでくる。
見慣れているはずのなべしょの後ろ姿は、知らない女の子が隣にいるだけで、まるで初めて見るものみたいに違和感しかなかった。
なべしょの声を聞いた時、心が浮かんだ。
あ、やっとなべしょに会える、って。今までかなりの間なべしょのことは頭の片隅に追いやってしまっていたくせに、調子がいいかもしれないけれど。
それでも、なべしょに会える、って、嬉しく思ったんだ。
なべしょが、誰と遊ぼうと構わない。
なぜなら、あたしにはそれを否定する権利はないからだ。
なのに、なべしょの腕に女の子の腕が絡んだ時、心に一滴墨が垂らされたみたいに、濁りが生まれた。
見せつけるように絡みついた腕が、"私のだから、邪魔しないで"って言いたいみたいで。
それが鮮明に伝わってきた。
綺麗にセットされた髪、ばっちりのメイク。
いつもだったら、あたしだってそうなのに。
今日のあたしはボロボロ。
誰のせいだと思ってんの？
なべしょのせいで眠れなかったんだよ。
そんな文句の一つも言ってやりたい。
可愛い子だったな。
なべしょ、今日はあの子の家に泊まるのかな。
また一滴、墨が落ちた。
別にね、特別扱いしてほしいわけじゃないよ。
あたしはただの同居人だし、ただの友達。
あたしからしたら少し特別な存在だけど、なべしょにも同じように思ってほしいなんて贅沢は思わないよ。
でも、あたし、友達にすらなれないの？
きっと彼女なわけじゃないあの子にも、あたしは隠されなきゃいけないの？
結局授業には出なかった。
ふてくされたみたいな気持ちで、廊下のベンチにどすりと座って、行儀悪く足を投げ出す。
もうどうにでもなれ！みたいに投げやりになってしまった。
て、待ってよ、なんであたしがこんな気持ちにならなきゃいけないの？
そのうちだんだん怒りに変わってきて。
「もー知らん！なんもかんも知らん！帰る！いや、帰らない！飲む！」
勢いで立ち上がった。
その時だった。
佐「お？Aー！1人で大声出してどした！」
後ろからの声に振り返ったら、いつも通りの笑顔の佐久間がいた。
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しょぴお - このお話すごく好きでした。今まで更新お疲れ様です。ずっと読んでました。笑 お話の終わり方がすごい、いい感じですね。このお話大好きです。 (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 続編待ってます。 (2019年5月30日 11時) (レス) id: f9aa5203aa (このIDを非表示/違反報告)
Momanao(プロフ) - 続編、楽しみにしてます！なんか...嵐が吹き荒れる予感が... (2019年5月16日 1時) (レス) id: a8ed6fc393 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴお - 話を読んでて泣きそうになった…。いや、泣く笑 (2019年5月14日 22時) (レス) id: d08dff729e (このIDを非表示/違反報告)
ミックスジュース(プロフ) - なべしょに頑張って欲しい！この作品大好きです！！これからも頑張って下さい！楽しみしています(^○^) (2019年5月14日 20時) (レス) id: 6b8cfc92fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2019年2月1日 14時
