2人で買い物:W ページ36
カップに入った色とりどりの雪だるまみたいなアイス。
モール内の、小さな噴水を囲うように並べられた、ベンチに腰掛けて。
何か食べている時って無言になるけど、それにしてもいつもより大人しい気がするなーなんて思いながら、時々Aの横顔をうかがった。
なにか考え込んでいるように、見えなくもない。
整った横顔の線を、じっと見つめてみる。
大人しい時のAの、伏し目がちに落とされた視線が、なんだか色っぽくて。派手な色のスプーンが口に運ばれていく様子ですら、扇情的に見えて。
うわ、俺って重症だ。
「……ん？一口欲しい？」
すると、俺の視線に気づいたAが。
自分の口に運ぼうとしていたスプーンを、俺に向けた。
渡「……っ？！」
こいつ。
こいつ、バカだ。
なんでこういうこと、軽々しくするかな。
俺どうすればいいの？俺、お前のこと好きなんだよ？
「はい、あーん」
渡「……っ、ちょ」
考える間も無く、ぐい、と近づけられたスプーン。
一瞬で、色んなことが頭の中を駆け巡って。
ぐるぐる回る目で、もうなるようになれ！なんて考えるのを投げ出して、唇を少しだけ持ち上げたら。
「ターーーン！」
渡「は、」
スプーンは向きを変えて、最初の予定通りAの口に運ばれていった。
してやったりな顔。
いたずらっ子みたいな。
渡「おっ……お前なぁ」
思わず絶句する俺を見て、なおさら楽しそうにケラケラ笑うA。こいつ、やられた。
お前のそんな小さないたずらで、俺がどんだけ困ってるかもしらずに！
でも、その楽しそうな顔が、かわいくて、俺に向けられてて。
「こんな簡単にひっかかるなんて」
そうだよ、俺だって、こんなに動揺するもんだなんて知らなかった。
お前は知らないけど、それはお前だからだよ。
渡「……ガキ！」
「んはは！」
Aが楽しそうだと、なんでも許してしまえるけど。
渡「A、なんか悩みでもあんのかなーって、考えてやってたのに」
俺が拗ねた風に言うと。
「……え、」
笑顔から一転、一瞬呆気にとられたように止まって。
「……あ、なべしょのアイス一口欲しいって考えてたの、バレてた？」
そう言って誤魔化して、また元の笑顔に戻った。
なんだよそれ。
やっぱなんか悩んでるんじゃん。
言っとくけど、俺の目は騙せないよ。
お前のことしか見てないもん。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
