2人で買い物:W ページ34
「浴衣の色が紺で、帯が薄い黄色なの」
渡「浴衣との合わせ方なんてわかんねーぞ」
「浴衣ってなんでもそれっぽくなるから、あたしに似合いそうなやつでいいや」
季節柄、色とりどりな花の飾りばかりが並ぶアクセサリーショップで、あごに手をやって難しい顔でそれらを眺めるA。
「これはどう？帯と合わせて黄色」
その中の1つ、黄色い大きな花の飾りを手にとって、俺をくるりと振り返った。
耳の後ろあたりに添えて、首を少しだけ傾ける。
渡「……っ、」
「あ、こっちのほうが帯の色に近いかなぁ」
少し色味の薄いものに取り替えて、さっきとは逆の方に当てて、また俺に笑いかける。
「赤もいいかも…あ、紫も可愛いなー」
Aは、俺のことなんかそっちのけで1人で勝手にあれやこれや選んでて。
俺が言葉に詰まってることに気づきもしない。
それはある意味助かるんだけどさ。
もうさ、困るわ、こんなん。
黄色でも赤でも紫でも、なんだって変わらない。
お前ってだけで、もう1番なんだ。
例えどんな飾りを付けてても、Aなら、誰よりも輝いてるし。
だって、好きだから。
あぁ、この笑顔が俺にだけ向けられて、この髪飾りが俺だけのために選ばれてるんだったら、どんなにいいだろうな。
夏祭りで、俺たち2人だけで、はぐれてしまえればいいのに。2人きりになれればいいのに。
俺がこんなこと考えているなんて、Aは知りもしないし、きっと興味もない。
「考えだしたらもう訳わかんなくなってきた……ねぇ、なべしょ的にはどれが良かった？」
"お前ならなんでも似合うよ、世界一可愛いもん"
って。
そんな、死ぬまで一生言えなさそうな言葉が浮かんで。
浮かんだだけで、それは消えていく。
こっぱずかしい。ほんと、無意識にこんな言葉が浮かんできてしまうくらいには、俺はお前にやられてる。
こんなはずじゃなかったのになぁ。
俺って、こんな男だったっけ。
お前のことになると、なにもかもダメだ。
渡「……俺もよくわかんなくなった。けど…強いて言うなら、これかな」
Aが最初に手にとった黄色の大きな花の飾り。
この色が、Aを1番輝かせてたかなって。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
