夏祭りにむけて ページ31
「Aさんってマジわかりやすい」
「今日はあえてわかりやすくしてた」
バイトが終わって誰よりも早く店舗を飛び出して、外の自販機でコーラのペットボトルを1つ購入。
遅れて店から出てきた木村くんに、両手で甲斐甲斐しくそれを差し出した。ようはこれは、袖の下。
「で、いつ代わればいいの？」
「さすが、木村氏。話が早いデキる男ですね」
「はいはい、いいからww」
あたしの言葉に顔をクシャッとさせて笑うと、受け取ったコーラを一口飲んだ。
「24日、5時12時なんだけど、代われるかな？」
「24日ね。まあ夏休み中だったらどうにでもなるよ」
「本当？！マジ？！」
「いいってばww」
「うお〜〜！！木村くん、ほんと、ありがとう…」
「その代わり今度飲みに行こ。駅前に新しくできたチェーン店行きたい」
「もちろん！あたしもそこ行きたいと思ってた」
「んで、24日はなにがあるの？」
「えっと…シェアハウスのみんなで、休み合わせて夏祭り行こうってなって」
「へぇ……珍しいじゃん。Aさんっていつもは"あたしの予定に合わせられない男とは遊ばない"っていうスタンスなのに」
「違うわ！でたよ、遊び人イジリ」
あたしのことをいつものようにからかって、いつものように笑う木村くん。それに少し安心した。
そういう用事ならやっぱり代われない、とか、万が一にでも言われたら…と、一瞬思ってしまったから。
「俺が働いてる間に、男6人侍らせてきなよ」
「お前なぁ！そうやってあたしが言い返せない時にだなぁ！」
いたずらっ子みたいにケラケラ笑う。こういう笑顔が、やっぱり年下っぽくてかわいい。
「………ん、？」
何かを感じて。ハッとして振り返った。
「……どうしたの？」
後ろから木村くんの声。
「いや…今誰か……」
「……誰か？いた？」
「ような気がした…」
向き直った先にいた木村くんは、珍しく難しい顔をしていた。
「こないだも言ったけど、最近不審者が目撃されたみたいだから。気のせいじゃないかも」
「ちょ、怖いこと言わないでよぉ…」
「ううん、マジで。本当にちゃんと気をつけて。なんなら帰り遅い日は俺の部屋泊まってってもいいし。帰るなら帰るで、誰かに迎えにきてもらうとかして」
「そんな大げさな」
「大げさじゃないって。あんたねぇ、本当に自覚が足りないよ…」
呆れたように言う木村くんの声が、やけに脳にこびりついた。
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すずの(プロフ) - しょっぴーしんどみが深いです！ (2019年5月5日 2時) (
レス) id: 0281d1cc7e (このIDを非表示/違反報告)
もやし(プロフ) - 改めて最初から読み直しました！！しょっぴーが切ない…。しょっぴー頑張れ！！笑 (2019年1月25日 1時) (レス) id: e09021bb44 (このIDを非表示/違反報告)
とみちゃん(プロフ) - あなたの紡ぐ文章が読めて嬉しいです、応援してます。 (2019年1月25日 1時) (レス) id: df9c0b9860 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 最近は更新が毎日あって寝る前の楽しみになっています！無理せず頑張ってください！本当に文章やストーリーがお上手で感動します（；＿；） (2019年1月24日 1時) (レス) id: 32bd2067cf (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこけし(プロフ) - 阿部担だけど、なべがものすごく気になってしまいます…(笑) 物語もいよいよ佳境ですが、メンバー目線もっと読みたいです♪ 更新無理せず頑張って下さい(*´∀｀*) (2019年1月23日 17時) (携帯から) (レス) id: b63c0386f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかゆ
| 作成日時：2018年12月18日 4時
