(３８) ページ39
・
あれから数日が経った。
学校中に今回の件は知れ渡ってしまったが、決して外部には漏れないようにと校長が釘をさしていたのでまぁ大丈夫だろう。
医務室で眠るハリーの傍には、彼の勇敢さに感銘を受けた複数の生徒からの贈り物が積み上げられている。
…………いくつか既に空いている物もあるようだ。
ベッドの傍の椅子に腰掛け、頭を撫でる。
うん。魔力も随分元通りになった。
そろそろ目を覚ますだろうと思ったその時
「う………ん、」
『！
………ハリー？』
「ぽっぷる……うぇる、せんせ？」
『おはようございます。
よく眠れましたか？』
シパシパと瞬きを繰り返すハリー。
少しするとゆっくりと起き上がって眼鏡をかけた。
僕に視線をやった後、お菓子の山にも気づいたようだ。
戸惑った彼の様子に思わず笑みが零れる。
「おぉ、起きたかね。
ハリー」
どこから現れたのか、ダンブルドア先生もベッドの近くに寄ってきた。
先生からウィーズリー君達の無事を知らされたハリーはホッとした様子だった。
「石は……どうなったんですか？」
「ニコラスと私で話し合ってな、石は砕いてしまった。
こうするのが1番だと決めたのじゃ」
二人の会話をじっと見守る。
「石がなければ……ヴォルデモートは２度と戻っては来ないんですね？」
「あぁ、残念じゃが戻る方法はまだある」
『…………』
校長の言葉に思わず目を伏せる。
「ハリー、どうしてクィレルが君に手を出せなかったかわかるかね？」
「ポップルウェル先生の魔法で、」
「うむ、もちろんそれもある。
じゃがな、ハリー
1番の理由は君のお母さんじゃよ。
命と引き換えに君を守った、それが君に印を残した。
君の肌にそれが残っておる」
「どんな印を…？」
校長は少し間を置いた後、ふわっと笑ってゆっくり答えた。
「愛じゃよ………ハリー。
………愛じゃ」
その言葉を聞いてハリーは幸せそうに頬を緩める。
その顔を見て、僕の心も柔らかく解されていった。
「さて、老いぼれはこのあたりで退散しようかの。
A」
『はい』
「後は………よいの？」
『………はい』
意味ありげなダンブルドア先生の目線に、しっかりと頷く。
満足したらしい校長は百味ビーンズの不味さに項垂れながら医務室を去っていった。
『さて、ハリー
………少し、話をしましょうか』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび(プロフ) - ぴうさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！一気読み！？あ、あまりご無理なさらずに！！！ (5月22日 22時) (
レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
ぴう(プロフ) - うぁぁ、タイプだぁぁ面白いです！これから一気読みします！ (5月20日 18時) (レス) id: c288b38476 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - 龍さん» わぁぁぁ！ありがとうございます！！そう言っていただけてとても嬉しいです！！ (2022年8月22日 22時) (レス) @page42 id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
龍(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！続き楽しみにしています！ (2022年8月22日 20時) (レス) @page43 id: c13f564568 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わさび | 作成日時：2022年8月1日 22時
