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ゆっくりと階段を登る。



本当ならばハリーとヴォルデモートが出会う前に事を収めたいところだが



ヴォルデモートという強敵を倒すために、ハリーには色々と学んでもらわなければならない。




知恵を蓄える大切さ。



状況を見る冷静さ。



決断する勇敢さ。



友を想い合う絆の強さ。




それら全てが、きっとこれからの彼の人生を繋ぐものになるだろうから。





3階にたどり着き、フラッフィーの元へ進む。



最初は威嚇していた彼等も、僕が手をゆっくりと伸ばすと甘えたように擦り寄ってきた。




『下へ行きたいんだ。


良いかな?』




言葉が通じたのか、地下への隠し扉を開けてくれる。




下を覗くと、悪魔の罠がどうやら強い光を浴びたらしくしおらしく項垂れているのが見えた。




そこに飛び降りて床に着地し、次の部屋へ向かう。





たくさんの先生方が仕掛けた高度な試練を片手で去なして、難なく突き進む。




『!』



チェス盤の試練を目の前にして、前方から走ってくる女子生徒を見つけた。




向こうもこちらに気づいたらしく、ハッとした表情を見せる。




『こんばんはMsグレンジャー、こんな所でどうしたんです?』



「ポップルウェル先生!あの、この先に……例のあの人が!

それで、ハリーが先に進んで……」



『………なるほど、ここまでよく頑張りましたね』



癖のある髪の毛を柔らかく撫でてやる。



少し砂ぼこりで汚れていたので、魔法でサッと綺麗にしておいた。




Msグレンジャーは目に涙を浮かべて強く頷く。




「これから、ダンブルドア先生にフクロウを飛ばしに行ってきます!


先生、お願いです。


ハリーを助けて!!」



『わかりました。



ハリーの事は大丈夫です、貴方は早くフクロウを』



「はい、先生!」



ダッと駆け出していく小さな背中を見送って、僕も前に進んだ。



チェス盤の上で気を失っていたウィーズリー君を手早く手当てし、着ていたローブを丸めて枕替わりにしてやる。



スヤスヤと穏やかな寝息をたてる彼にふっと笑いが込み上げ、赤毛をひと撫でした。




『頑張りましたね………ゆっくり休むんですよ』




スクッと立ち上がり、最後の扉を開ける。



この先に、奴がいる。




友を殺した憎き仇を前にして、果たして冷静でいられるだろうか。




"迷いは選択を鈍らせる"




薬庫でのセブルスの言葉を思い出す。






そうだ、迷うな。






もう誰も、







死なせはしない。

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わさび(プロフ) - ぴうさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!一気読み!?あ、あまりご無理なさらずに!!! (5月22日 22時) (レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
ぴう(プロフ) - うぁぁ、タイプだぁぁ面白いです!これから一気読みします! (5月20日 18時) (レス) id: c288b38476 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - 龍さん» わぁぁぁ!ありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです!! (2022年8月22日 22時) (レス) @page42 id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしています! (2022年8月22日 20時) (レス) @page43 id: c13f564568 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わさび | 作成日時:2022年8月1日 22時

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