検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:6,120 hit

141話:死死死死死 ページ4








『が…………ぁ………ッ……』



私に馬乗りになる母は私の首を絞める力を強めた。
その目には光など宿っておらず、酷く恐ろしい雰囲気を纏っている。
ふと母は手を放して立ち上がった。
一気に入ってきた酸素に噎せ返り、咳き込んでいると母はすぐに戻ってきた。
その手に包丁を持って。
見上げた瞬間、ソレは私目掛けて振り下ろされた。









チリン……チリン……─────









『……許さないから、な……
私達のこと忘れて、のうのうと生きていくなんて……絶対に許さない……』



燃えるカチューシャを背に、私は地を這った。
その体は全身重度の火傷を負っており、プラチナブロンドは焦げて抜け落ちている。
助からないのはもう明確だった。



『地獄の底、まで……お前を、殺しに……』









チリン……チリン……───────









世界がスローモーションに見えた。
目の前には私の名前を叫ぶブチャラティ。
私はプロシュートを掴んで引っ張った。
宙を舞うこの体はこれから時速150kmの列車から落ちて凄惨な姿へと変わるのだ。

もうこうするしかない、プロシュートが死ねば皆の老化は止まるんだから。

彼が伸ばした手は空振り、私は重力に抗うことなく地面へと向かった。









チリン……チリン……──────








ギ、ギアッチョは何処に…!?運河に突っ込んだ衝撃で見失ってしまったッ!
早くしないと車ごと水に沈んじゃうってのに…!


『ジョルノ!ミスタッ!周りを確認し……』


振り向いた先には…


『ッ!!?』



全身が凍らされた二人がいた。
すぐ横に、凍った頭が二つ、浮かんできた。
悲鳴を上げた瞬間私は


凍った己の右半身が無いことに気づいた。









チリン……チリン……─────








アバッキオのこんな顔、初めて見たなぁ。
貴方が私にそんな表情見せる日が来るなんてね、嬉しいわ。

彼が必死に止血を試みているが無駄だ。彼も分かっているだろうに。お腹にこんなに大きな穴が空いてるし、ジョルノも間に合わない。
さざ波の音は、私を永遠の眠りに誘った。










チリン……チリン……──────









ただ呆然と立ち尽くす私の体は大量の返り血で染まっていた。


……みんな死んだ、勝てなかった。
どうすればよかったのか分からない。
矢はボスに取られたしレクイエムも始まった。


ひび割れた地面に切り落とされた頭は、転がる体を見つめていた。





チリン……チリン……─────

142話:天秤に掛けられたのは→←140話:一月の願い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
76人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年7月27日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。