141話:死死死死死 ページ4
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『が…………ぁ………ッ……』
私に馬乗りになる母は私の首を絞める力を強めた。
その目には光など宿っておらず、酷く恐ろしい雰囲気を纏っている。
ふと母は手を放して立ち上がった。
一気に入ってきた酸素に噎せ返り、咳き込んでいると母はすぐに戻ってきた。
その手に包丁を持って。
見上げた瞬間、ソレは私目掛けて振り下ろされた。
チリン……チリン……─────
『……許さないから、な……
私達のこと忘れて、のうのうと生きていくなんて……絶対に許さない……』
燃えるカチューシャを背に、私は地を這った。
その体は全身重度の火傷を負っており、プラチナブロンドは焦げて抜け落ちている。
助からないのはもう明確だった。
『地獄の底、まで……お前を、殺しに……』
チリン……チリン……───────
世界がスローモーションに見えた。
目の前には私の名前を叫ぶブチャラティ。
私はプロシュートを掴んで引っ張った。
宙を舞うこの体はこれから時速150kmの列車から落ちて凄惨な姿へと変わるのだ。
もうこうするしかない、プロシュートが死ねば皆の老化は止まるんだから。
彼が伸ばした手は空振り、私は重力に抗うことなく地面へと向かった。
チリン……チリン……──────
ギ、ギアッチョは何処に…!?運河に突っ込んだ衝撃で見失ってしまったッ!
早くしないと車ごと水に沈んじゃうってのに…!
『ジョルノ!ミスタッ!周りを確認し……』
振り向いた先には…
『ッ!!?』
全身が凍らされた二人がいた。
すぐ横に、凍った頭が二つ、浮かんできた。
悲鳴を上げた瞬間私は
凍った己の右半身が無いことに気づいた。
チリン……チリン……─────
アバッキオのこんな顔、初めて見たなぁ。
貴方が私にそんな表情見せる日が来るなんてね、嬉しいわ。
彼が必死に止血を試みているが無駄だ。彼も分かっているだろうに。お腹にこんなに大きな穴が空いてるし、ジョルノも間に合わない。
さざ波の音は、私を永遠の眠りに誘った。
チリン……チリン……──────
ただ呆然と立ち尽くす私の体は大量の返り血で染まっていた。
……みんな死んだ、勝てなかった。
どうすればよかったのか分からない。
矢はボスに取られたしレクイエムも始まった。
ひび割れた地面に切り落とされた頭は、転がる体を見つめていた。
チリン……チリン……─────
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作者名:胡蝶 | 作成日時:2022年7月27日 2時