12話 ページ13
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神童「行くぞ！」
神童は真ん中が空いた事にチャンスだと思うと、声を掛けて皆は上がっていく。
だがAは神童の指示を聞かずに立ち止まったまま敵の様子を伺うと、速水はAの様子に気が付いた。
速水「白星さん、上がらないんですか？指示出てますけど…」
A「真ん中を開けるなんて、絶対に何かある…」
速水「何か…？」
Aはぽつりとそう述べるが、速水は不思議そうに首を小さく傾げているだけだった。
「…これが月山国光、"不動の陣"…！」
兵頭「…備えよ！」
兵頭はベンチ側に目を移して頷いた近藤を見ると、片手を上げて選手に次の合図を出した。
その合図に左右に分かれていた選手たちは合図により膝を地面につけて次の構えを取る。
するとその時、会場に設置されていた大きなサーキュレーターのような物の羽が動き出し、大きな風が起き上がる。
その風は大きな竜巻となり、ゴールへ向かっている倉間の後ろに出現した。
A「…！？倉間先輩危ない！」
倉間「…！何だッ…うわぁあっ！」
Aは咄嗟に名前を呼ぶがそれはもう手遅れで、倉間は竜巻に飲み込まれてしまい、高く舞い上げられてしまった。
A「まさか本当に、竜巻なんて…！？」
予想が当たってしまったAは驚きに小さな汗をたらりと流した。
すると回っていた羽が止まり竜巻が消えると、倉間は地面へ叩き付けられるように落下した。
Aと天馬、神童は慌てて倉間へと駆け寄る。
神童「倉間！」
天馬「大丈夫ですか！？」
倉間「ああ…っ」
A「良かった…」
神童と天馬が声を掛けると倉間はゆっくりと立ち上がる。
その姿を見て、Aはそっと胸を撫で下ろした。
《ボールは月山国光に渡った─！》
兵頭「…弐の構え！」
「「はっ！」」
兵頭が再び合図を出せば、月山国光はフォーメーションを変えてくる。
その様子を見たAは、あの兵頭の合図は何を意味するのか直ぐに察した。
A「(まさか…あの竜巻が何処で発生するのかわかってるんじゃ…！)」
Aがそう思いながら月山国光の動きを眺める。
すると同時に機械の羽が動き出し大きな竜巻が三つ起き上がる。
これを見てAは確信を持てた。
A「やっぱり！」
兵頭「進めい！」
月山国光は竜巻が発生したのにも関わらず、そのまま雷門陣内へと上がっていく。
「月山国光、"炎の陣"！」
神童「抜かせるなッ！」
神童の合図にAと速水は止めに入ろうとする。
だが竜巻の風により近づく事が出来ない。
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作者名：りはる | 作成日時：2020年4月1日 2時
