第17話 無意味な嘘 ページ18
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その後、私を探しにきてくれた銀時さんは鬼の形相をしていた。
まるで、私は母親に叱られる子供のよう。
言われてるのはごもっともな事ばかりで、頷くことしか出来ない。しかし最後には、
「怪我させて悪かったな」
銀時さんは何も悪くないのに、自分を責めるように私に謝る。
ぶんぶんと首を横に振り、私が勝手にした事だと言えば困ったように笑った。
「ところで誰なんだ。
誘拐犯を仕留めた奴と、お前の怪我の手当てしたのは」
まだ記憶に新しい、青い瞳の男が頭の中で蘇る。
名前を呼ばれた声色も思い出し、勝手に恥ずかしくなる。
そして、彼が去り際に放ったあの言葉。
(狙われてるのは、私……?)
もしそうなら、彼の事を伝えたら銀時さんに余計な心配をかけてしまう。私が狙われてるのが事実なのかも不明だ。
散々悩んだ挙句、とりあえず今は胸の内に秘めておくことにした。
『私が、行った時にはもう犯人は倒れてました。
足は走ってたら転んで……
包帯はその、通りすがりの人が……』
事実を混ぜると嘘はバレにくいと聞いた事がある。
だがこんな曖昧な事実を混ぜたところで無意味な気もする。
証拠に銀時さんは疑いの眼差し。
誤魔化すように、試しにアハハっと笑ってみるが銀時さんの表情は変わらない。
そんな気まずい雰囲気のところに悲しげな声が重なる。そよ姫様を横抱きにした神楽ちゃんだ。
「銀ちゃん。私、そよちゃん送ってくるネ」
「バカ、俺も行くよ。
一応あの将軍さまに今日のこと報告しねーとな」
まだ眠ってるそよ姫様を銀時さんは自分の背に乗せる。
神楽ちゃんも彼女を守れなかった事がショックなのか、来た時とはまるで別人のように暗い。
彼女を元気づけようと、また茶屋に来てねと声をかければ小さく微笑んだ。
地上に向かう3人を見送り、私も帰路につく。家に帰ってあの人が巻いてくれた包帯を眺めれば、ボロボロで、明らかに私の血ではない赤いシミ。
応急処置だから、家に帰ったら消毒しろと処置中の彼に言われた事を思い出す。
笑いながら平気で銃を撃つ彼が、つかの間に見せた優しさともいえる
あの鮮やかな青色を
寝る前にもう一度思い出した。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時