第13話 胸騒ぎ ページ14
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新井先生には申し訳ないが、
ついさっき貰った、ウサギのお面を差し出す。
「良いんですか? 」
私がもちろんと頷くと、
可愛い、と声をあげて姫様は喜んだ。
何気なく銀時さんをみると、
まったく、と言うかの様に呆れながら優しく微笑み、
頭をガシガシと撫でられる。
「神楽、姫さんのコト頼むぞ」
「銀ちゃんも、くれぐれもAに手出すなヨ」
「なんで、そっちの心配なんだよ」
ため息をつく銀時さんに、冷たい視線を送る神楽ちゃん。
それを笑って見つめるそよ姫様。
今日は色んな人に出会えるな、と嬉しくなる。
それと同時に賑わう街に違和感を覚えた。
夜の暗がりから、
私たちを明るく照らしている
次々と光を失う。
それだけではない。
屋台の灯りも徐々に暗くなっていく。
この異変に気づいた人々も皆、困惑の声をあげている。
『ほとんどの光が……』
「大元の、電気室の故障じゃねーの」
もう近くにいる人しか姿を認識出来ない。
胸騒ぎがして、
近くにいる銀時さんの袖を手探りで掴んだ。
「きゃぁぁぁ‼ 」
「逃げろぉぉ! 」
「落ちてくるぞ! 」
困惑する周囲の中から、悲鳴が聞こえる。
地面に何かを叩きつける音がした。
同時に大勢の人が川に流されるかの様に大きく動く。
一ヶ所の場所から何かから逃げ出す人々。
人の流れは私たちのところにもやってきて、
体がぶつかり合うくらいにごった返す。
強い力で右腕を引かれる。
誰かは至近距離で香る匂いでわかった。
銀時さんは私を自分の方に引き寄せると、
その大きな体にすっぽりと収めてくれたのだ。
「いって! 」
『銀時さん! 』
銀時さんの背中に何が当たる。
提灯だ
やぐらから四方に吊るされているはずの大量の提灯が、
私たちめがけて落ちてくる。
もうお祭りどころではない。
混乱した人々に押し潰され、
道に段差があると分からずに重心が後ろに持っていかれる。
『っ! 』
気づいた時には銀時さんを巻き込んで転んでいた。
「A、大丈夫か!? 」
『だ、大丈夫です、銀時さんのおかげで』
その時、暗がりから微かに見えた。
人々の流れと外れ、
祭りの場所とは関係のない
路地裏の方向に飛び出す人影。
『っ待って‼ 』
私は急いでその人物を追いかけた。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時