かまってほしい…こともない！【莉犬】 (ページ3)

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家に入り、玄関の電気をつけてもう一度子犬をよく見る。

外は暗くてわかりにくかったが、濡れているだけでなく泥がついて汚れていた。
そしてやはり、長い間外にいたのであろう。未だに震えているし、抱き上げたときに触った体は冷えていた。

「一緒にお風呂入ろっか」

言葉がわかるはずは無いがそう声を掛け、子犬を抱きかかえたまま湯船にお湯を貯め始めた。

貯めている間に体を洗ってしまうことにして服を脱ぐ。
本当は先に子犬だけ洗おうと思ったのだが、トータル10分以上外で雨に濡れ続けた体は思った以上に冷えていた。

子犬を見ると爪は伸びておらず、体を傷つける恐れは無さそうなので、一緒に入ってしまうことにしたのだ。

子犬に温かいシャワーをかけてやると、どうやら水が嫌いなようで暴れ始めた。

「暴れないで、怖いことしないから！」

どうにか子犬の体に付いた泥を洗い流し、自分も普段の半分くらいの時間で急いで体や頭を洗う。

洗い終わった頃にはお湯も貯まっていて、子犬を抱き上げて湯船に浸かる。
最初はまた暴れたものの、雨に濡れて冷えた体が温まり気持ち良かったのか、いつの間にか大人しくなっていた。

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10分程、2人……1人と1匹で温まり、お風呂から上がって急いで先に体を拭いて部屋着に着替える。
その後子犬の体をタオルで拭き、ドライヤーをかけて乾かした。

ドライヤーをかけていると、汚れが無くなったお陰で最初よりふわふわで可愛らしい鮮やかな赤茶の毛になった。

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夕飯を簡単に済ませ、咄嗟に連れて帰ってきた子犬を今後どうするか考える。
引取り手がいれば良いけれど、すぐには見つからないだろう。

いずれ飼いたいと思ってはいたものの、今は社会人1年目。もう少し仕事に慣れてから考えようと思っていた。
ただ、こうしていざ目の前にすると可愛くて、無理をしてでも飼ってしまいたいというのが本音だ。

(……とりあえず今日は寝よう)

考えることを放棄し、ひとまず今日は布団に入ることにした。

「ほら、寝るよ」

リビングのクッションを加えて遊ぶ子犬にそう声を掛け抱き上げる。

(名前……考えなきゃな)

さっきまで飼うか飼わないかで悩んでいたはずなのに、内心こんな可愛らしい子犬を手放したく無い気持ちで、無意識にそんなことを考えていた。

ベッドに入っても子犬は大人しく私の横に転がっている。

「おやすみ」

そう言って私は目を瞑り、すぐに意識は途絶えた。