39.放送 ページ43
「これから放送するから部屋こもるね」
莉犬くんはだいたい毎週月曜日の21時頃から、キャスで放送をする。
そういうときは先程のように私に声を掛けたら、毎回2時間は自室にこもって出てこない。
そういうとき私は「わかったよ」と何も知らないように返事をしておきながら、実際はこっそりリビングで耳にイヤホンを差しこみスマホで莉犬くんの放送を聞いているのだ。
そして23時頃に放送を終えた莉犬くんが部屋を出てきて、その後彼の作業が無かったら一緒にベッドに入るのがいつもの流れ。
だけど、今日は違った。
放送時間が2時間を越えてもなかなか放送が終わる気配がない。
それどころか、莉犬くんはいつもの時間が過ぎていることに気づいていないのかリスナーさんのコメントを読みながら楽しそうに話を続けている。
(…まあこんな日もあるか)
そう考えながら、明日は休日だしと今日は少し夜更しすることに決めて放送を聞き続けた。
約15000人のリスナーさんのコメントも見ながら話をする莉犬くんの声を聞いていると、気になる話が入ってきた。
「そういえば、俺最近好きなタイプ変わったんだよね〜」
(え…?)
莉犬くんは放送でも好きなタイプをよく聞かれるらしく「リスナーさんに付き合ってることを言ってないから好きなタイプの話とかは許して」と以前にも言われていたし、特別気にしてもいなかった。
でも、好きなタイプが変わったと言われれば訳が違う。
(何で変わったんだろう…)
浮気なんてさらさら疑ってないし、いつも自分に好きだと伝えてくれて甘やかしてくれているのもわかっている。
でもどうしても気になって、その先の言葉に耳を傾ける。
「何て言うかさ、人生舐めくさってる感じ?まぁ何とか上手くいくぜ〜的な子!そういう子が上手くいかない状況にぶつかったとこ見てみたいよね」
(…?)
よくわからなかったが、自分がそのタイプでは無いことだけははっきりわかる。
どちらかというといつもあまり自信がないし、今もこうして莉犬くんの発言に不安になる。
そしてその不安な気持ちが、莉犬くんの次の一言によってさらに拍車がかかった。
「『クールな子が好きなんですよね?』って?いや違うよ、誰に対してもクールな子が俺にだけ甘えて欲しいの」
これはよく放送で言っていることだし、特に気にしたことは無い。
でも今の私には心に刺さる一言でしかなかった。
(私……
クールでもないし、素直に甘えられもしない…)
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もなか(プロフ) - ストーンさん» いえいえ、ありがとう!頑張るね…! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 3ccd8a0edd (このIDを非表示/違反報告)
ストーン(プロフ) - 私のあんな簡単なリクエストがこんなにいい作品になるなんて......ありがとうございますっっ!次の更新も楽しみにしてるね! (2019年9月11日 16時) (レス) id: 29a2f5b542 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - ストーンさん» 私は全然外してもらって構わないです!でも中々慣れなくてたまに敬語に戻っちゃうかもですが…笑 (2019年9月10日 18時) (レス) id: 3ccd8a0edd (このIDを非表示/違反報告)
ストーン(プロフ) - 把握です!わざわざありがとうございます!敬語外しません?((馴れ馴れしいですかね... (2019年9月9日 22時) (レス) id: 29a2f5b542 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - ストーンさん» 何回でも大丈夫です!ですがあまり多いと一応掛け持ちしているので遅くなってしまうかもしれないのでそこは申し訳ないです…。 (2019年9月9日 22時) (レス) id: 3ccd8a0edd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなか | 作成日時:2019年8月15日 1時