【呪術廻戦】愛でしかない (男主) (ページ42)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:34,458 hit

Episode5-9 ページ42

死を覚悟した時、「チッ」と舌打ちが
聞こえた。

不思議に思っていると、ヤツの手が俺の心臓から
ゆっくり離れていく。

その手は不自然にガクガクと揺れている。

「忌々しい小僧め」

ヤツの呟きが聞こえた。

嗚呼、きっと悠くんが俺を助けてくれたんだ。
内側で悠くんがヤツの攻撃を止めてくれたんだ。

俺は…いつも助けられてばっかりだね…。

不甲斐ない自分に思わず涙が出そうになった。

「小僧が喚いて敵わん。気に食わんが、
トドメは刺さないでおいてやる。
暫くお前は戦闘不能であろうし、
動けたとて取るに足らない戦力よ。
さて…残りの餓鬼を始末しに行くとしよう」

そう言って、宿儺が俺に背を向けて歩き出す。

ヤバい、今度はめぐくんたちが危ない！

『やめッ……』

声が出ない、出そうとすると喉が焼けるように痛い。

伸ばしたはずの手もカクカク震えて、
思い通りに動いてくれない。

限界、なのか……？
俺は誰も守れずにここで誰かが来てくれるのを
待ってるだけなのか？

さっきも悠くんに守られて…。

俺は…俺は…ッ……。

苦しい、悔しい、情けない。
そんな負の感情が体全体を駆け巡る。

"結月、貴方にできることはまだあるわ"

不意に脳内に声が響いた。
聞いたことないはずなのに、どこか懐かしい声。

誰……？

"反転術式を使いなさい。私の子なら絶対にできるわ"

反転術式…？私の子…？

訳がわからないけれど、俺に今できることは
それしかないと思った。
もうこの声に従うしかない。

反転術式って…確か治癒に使えるって言ってたっけ。
でもそれって難しいって言ってたような…。

ああっ、こんなごちゃごちゃ考えてる間に、
悠くんとめぐくんと釘ちゃんが危険に晒されてる。

早く早く、みんなのところに行かなくちゃ。
俺もみんなを守らなくちゃ！！

全神経を集中させる。

折れた骨を修復するように、焼き切れそうな喉に
潤いをもたらすように。

痛みの基を探り出し、そこにありったけの呪力を
集結させる。

全部治せなくていい、体が動けさえすれば
後はなんとかカバーできる。