君と過ごすキラキラな時間

とある作戦2 ページ19

体育館から少し離れた所にあるベンチに、2人並んで座る。

ふぅと細く息を吐いた将洋さんは、こちらにチラリと視線を投げた後、

「ヤマのことでしょ？」

と見事ド真ん中にズバンと的中させる。

「そうっす。俺、ずっと考えてるんやけど、
なーんも解決策が出てこおへんくて…」

「俺もさ…どうしたからいいのか、
ずっと考えてたんだよね」

困ったように笑った彼の声音は少しだけ寂しそうで、
将洋さんも俺と同じように答えを持ってへんのや、
って分かってしまった。

「このままじゃダメだよな〜。バレーはさ、
チーム戦だから個人の感情に左右されることが
ないとは言い切れないんだよね。
練習をたくさんするとか、持久力を上げるとか、
それはもちろん大事なことなんだけどさ、
ベストなチームでいるためにはメンタルが
要になってくるんだよ。勝ちたい、もっと上に行きたい、
ってバレーに集中できる純度の高いメンタルが
1番重要なんだよね」

そうひと息に言った後、彼はハッと俺の方を見て

「ごめん、1人で話しすぎちゃった」

と決まり悪そうに笑った。

俺は彼の内側の深い部分を垣間見たようで、
思わず感嘆の息を漏らした。

やっぱり…将洋さんはすごいわ…。
自分のことだけやなくって、常にチームのことを
考えとる。

俺は焦れば焦るほど、自分のことしか
考えられなくなって、周りのことはつい
後回しにしてしまう。

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